2013/12/13 12:00
第5回 京都ヒストリカ国際映画祭……”ヒストリカ”無事閉幕しました!
Photo: 京阪国道口歩道橋から望む東寺の五重塔 Ⓒ加藤 舞(かとう・まい)
2013年11月30日~12月8日に開催!
第5回京都ヒストリカ国際映画祭 カウントダウン特集 番外編
加藤 舞(かとう・まい)/京都ヒストリカ国際映画祭 作品担当
先月、全4回にわたってカウントダウン特集を掲載させていただきました「第5回京都ヒストリカ国際映画祭」が、去る12月8日(日)に無事閉幕いたしました。『アグロスパシア』掲載記事を読んでくださった皆様、興味をもってくださった皆様、情報拡散してくださった皆様、そしてご来場いただきました皆様、本当に、本当に、ありがとうございました!! スタッフ一同、心より感謝申し上げます。[番外編]と題した今回は、皆様に御礼の気持ちを込めて、海外ゲストにフォーカスを当てたエピソードなどをご紹介していきます。
「シュ・ハオフォン」という衝撃(ショック)
- Photo:シュ・ハオフォン監督が武術の型を実演
- Ⓒ 京都ヒストリカ国際映画祭
「京都ヒストリカ国際映画祭」カウントダウン特集第3回目でご紹介した、今回日本初上映のシュ・ハオフォン(徐浩峰)監督による武侠映画『ジャッジ・アーチャー』(2012年)。映画祭初日の11月30日(土)にT・ジョイ京都にて1回のみの限定上映だったのですが、ありがたいことに多くのお客様に足を運んでいただきました。実はこの上映回の前に、京都文化博物館でシュ監督の初監督作品『ソード・アイデンティティー』(2011年)も上映をしており、これらの作品を見たあとショックを受けたという方がなんと続出! 開幕初日にしていきなり、まさに[「シュ・ハオフォン」という衝撃]が京都ヒストリカ国際映画祭に走ったのでした。何に衝撃を受けたのかというと、やはり「武術」の扱い方や描き方。言葉にして表現できるようなものではありません。何度も言わせてもらいます、「…(沈黙)…こんな映画見たことないよ!」です。
休憩中に、シュ監督に「なぜ8年もの年月をかけて武道・道教・仏教を独学し、武侠小説家になったのか」と尋ねたところ、簡潔に一言「映画を撮るためです」とお答えになりました。これもまた「超」がつくほどの衝撃…。以前の記事に「非常にユニークな経歴の持ち主」と記載しましたが、ユニークなんていうありきたりな言葉で片付けることは許されない、映画を撮ることに対してストイックに探求を重ねた結果の経歴だったわけです。壮絶…。『ソード・アイデンティティー』も『ジャッジ・アーチャー』も、映画に対して真摯過ぎるほどの向き合い方をしてきたシュ監督だからこそ生み出すことができる独特な世界観なのかもしれません。
『ジャッジ・アーチャー』については残念ながらまだ日本公開予定はないようですが、『ソード・アイデンティティー』はDVDが出ていますので、これからでもまだこの衝撃を体感することができます。今後のシュ監督の活躍からますます目が離せなくなりました。
映画館という空間をひとつにする―『ピー・マーク』の力
- Photo:『ピー・マーク』
- Ⓒ 2013 Gmm Tai Hub Co., Ltd. All Right Reserved.
映画館で声を出して笑ったことはありますか?また、海外の映画館で観客が自由に感情表現することに驚いたことはありませんか? 日本では、「上映中はお静かに」というマナー広告が劇場で流れるくらいですし、隣の人に迷惑にならないように…と気を使う方がほとんどではないでしょうか。
なぜこんな話をするのかというと、12月7日(土)に京都文化博物館で行われたバンジョン・ピサンタナクーン監督のタイ製ホラーコメディ『ピー・マーク』(2013年)の上映では、場内にお客様たちの笑い声が響いていたのです。上映後には「楽しかった!」というお声を多数いただき、作品自体はもちろんのこと、映画館で声を出し笑いあって他の観客と感情を共有しながら映画を観るという楽しさも一緒に体験していただけたのならば、これほど嬉しいことはありません。パーソナルな体験としての映画鑑賞を超えて、劇場の空間やお客様の心をひとつにする『ピー・マーク』という作品が持つ力の強烈さを痛感する出来事でした。―いや、当然といえば当然のことなのです。この作品を静かに黙って観ようなんて、笑いを堪えるなんて、出来るわけがない。だからからこそ以前の記事に「笑い泣きに備えて、ハンカチをお忘れなく!」と書いたのでした。
実はバンジョン監督、当初の予定ではトーク(ティーチ・イン)前の『ピー・マーク』上映には立ち会わないことになっていました。ところが急遽、打ち合わせの数十分間だけ抜け出して、それ以外の時間は自ら上映会場に留まることに。その理由が、「お客様が笑っているか反応を観たい」ということだったのです。観客の反応を自分の目で見て、肌で感じる・・・バンジョン監督が、タイ国内だけでなく世界中で注目を集めている新進気鋭のヒットメーカーである所以を垣間見た一瞬でした。
第5回京都ヒストリカ国際映画祭では、シュ・ハオフォン監督やバンジョン・ピサンタナクーン監督以外にも、多くのゲストの方々にご出演いただきました。トークなどの様子は、順次公式ホームページにて公開してまいりますので、チェックしてみてください。
ちなみに、カウントダウン特集第2回目の「[番外編]ドッペルゲンガーを目撃する」の結果を気にしてくださっている皆様、京都ヒストリカ国際映画祭は無事、「世界には似ている人が3人いる」の3人が集ってしまうミラクルが起こった映画祭となりましたので、この場を借りてご報告させていただきます(ご本人たちだけが3ショットの証拠写真を保持しております)。では、また来年お会いしましょう!
第5回京都ヒストリカ国際映画祭
[The 5th Kyoto HISTORICA International Film Festival]
世界でただひとつ「歴史」をテーマにした国際映画祭。第5回目となる今年度は、京都・太秦の撮影所で製作されたお正月映画をひと足先に楽しめる【ヒストリカ・スペシャル】、変化の中にある世界中の歴史映画最新作を集めた【ヒストリカ・ワールド】、アニメが拓く歴史映画の楽しさを紹介する【ヒストリカ・アニメ】、デジタル復元で甦った映画史を埋める幻の名作が並んだ【ヒストリカ・クラシックス】の全4部門18作品を上映。
期間:2013年11月30日(土)~12月8日(日)※終了しました
上映会場:京都文化博物館、T・ジョイ京都、MOVIX京都
URL:http://www.historica-kyoto.com/