2013/11/08 14:42

第5回 京都ヒストリカ国際映画祭……”ヒストリカ”ってなに? 
カウントダウン特集 II

Photo: 八坂の塔 Ⓒ加藤 舞(かとう・まい)

第5回 京都ヒストリカ国際映画祭……”ヒストリカ”のツボ
カウントダウン特集 Ⅱ

by 加藤 舞(かとう・まい)/京都ヒストリカ国際映画祭 作品担当

全4部門18作品を上映

Photo:記者会見の様子
Ⓒ 京都ヒストリカ国際映画祭

 世界でただひとつ「歴史」をテーマにした映画祭である「京都ヒストリカ国際映画祭」。カウントダウン特集第2弾となる今回は、その楽しみ方やみどころ、つまりは「ツボ」をご紹介します。
 今年度で第5回目を迎える京都ヒストリカ国際映画祭では、全4部門18作品が上映されます。オープニングとクロージングを飾る【ヒストリカ・スペシャル】、世界の最新歴史映画をお届けする【ヒストリカ・ワールド】、修復で甦った名作をもとに映画の歴史をたどる【ヒストリカ・クラシックス】、そしてアニメが描く歴史を楽しめる【ヒストリカ・アニメ】、どの部門もこれまでになく充実したラインナップが揃いました。

「メイド・イン・京都」の違いを楽しむ

 【ヒストリカ・スペシャル】では、東映と松竹のお正月映画がそれぞれオープニング上映とクロージング上映を飾ります。両作品とも一般公開より一足早く、またトークショーや舞台挨拶に豪華ゲストが出演し、プレミア感たっぷり。こういう特別な雰囲気を楽しめるのもまさに映画祭の醍醐味ですが、京都ヒストリカ国際映画祭ではもうひとつ、他の映画祭ではなかなか味わえない楽しみ方をオススメします。
カウントダウン特集第1回でご紹介しましたが、現在、京都・太秦には映画やテレビドラマなどの製作を行う撮影所が2つあります。オープニング上映の『利休にたずねよ』はそのうちのひとつである東映京都撮影所で製作され、クロージング上映の『武士の献立』はもう片方の松竹撮影所で製作されました。つまり両作品とも、「メイド・イン・京都」「メイド・イン・太秦(うずまさ)」というわけです。
京都・太秦の撮影所で製作されたお正月映画であり、重複しているロケ地も多く、なおかつ歴史映画(時代劇)という大きな共通点を持つこの2作品。にもかかわらず、その魅力は正反対といっても過言でないほど、全くもって違います。作風、テンポ、暗と明、静と動、映画会社や撮影所がそれぞれに持っている「色」のようなもの―オープニングとクロージングの両方に足をお運びいただき、是非そのギャップを体感してください。

3回券はじめました

 上記の【ヒストリカ・スペシャル】2作品のほかにも、今年度のラインナップは見どころが満載。エルンスト・ルビッチ監督の幻の名作『ファラオの恋』(1922年)のデジタル修復版日本初上映や、タイ、中国、イタリア、ノルウェー、ドイツ、アメリカ、韓国など世界の新作歴史映画も驚きの良作が目白押しです。映画祭を心ゆくまで楽しみたい、歴史映画の世界にどっぷり浸かりたいというお客様のために、今年度からお得な3回券が販売されます。この3回券、【ヒストリカ・ワールド】【ヒストリカ・クラシックス】(特別上映『彼岸花』を除く)、【ヒストリカ・アニメ】の上映に使用できます。
関西にお住まいのシネフィルの方、紅葉シーズンの京都観光と兼ねて遠方からお越しいただく方など、会期中ヒストリカに通ってくださる方々にオススメのこのチケット。そこで、今回は筆者がオススメする「3回券有効活用プラン」を以下に2つご紹介します。しかしもちろん、使い方はお客様の自由です!リーフレットやカタログを見ながら、どの上映に行くか迷ったり考えたりする時間も、映画祭の醍醐味ですね。

■その1【武侠映画ファン向け】
とにもかくにも武侠映画三昧の1日。トークも2つあり、ディープな時間と空間を楽しむことができます。京都文化博物館からT・ジョイ京都への移動時間が少しタイトなので、『ソード・アイデンティティー』ご鑑賞前にランチを済ませておくと安心です。

<1枚目>
11月30日(土)12:30~『ソード・アイデンティティー』(於 京都文化博物館)
<2枚目>
11月30日(土)15:30~『フライング・ギロチン』&トーク(於 T・ジョイ京都)
<3枚目>
11月30日(土)19:30~『ジャッジ・アーチャー』&トーク(於 T・ジョイ京都)

■その2【ヒッチコックのファン、映画の歴史に興味をお持ちの方向け】
巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督によるトーキー映画第1作『恐喝[ゆすり]』。当初はサイレント映画として制作されていたことをご存知でしょうか。今回はトーキー版とあわせて、珍しいこのサイレント版も上映します。MOVIX京都と京都文化博物館をつなぐ三条通には、いまも多くの歴史的建造物(近代建築)が残っており、風情あるまち並みを楽しむことができます。

<1枚目>
12月2日(月)13:15~『快楽の園』(MOVIX京都)
または12月3日(火)13:15~『リング』(MOVIX京都)
<2枚目>
12月4日(水)13:15~『恐喝[ゆすり]』[サイレント版](於 MOVIX京都)
<半券提示>
12月4日(水)16:00~ヒストリカ・トーク「ヒッチコック サイレントから
トーキーへ 演出と音を巡っての考察」(於 京都文化博物館)
<3枚目>
12月4日(水)18:30~『恐喝[ゆすり]』[トーキー版](於 京都文化博物館)

作品情報の「みどころ」がシャープでしょ

「どの上映に行くか迷ったり考えたりする時間も映画祭の醍醐味」と先ほど書きましたが、その判断材料のひとつとなるのが作品情報。制作国、監督、出演者、そしてもちろんストーリーのあらすじも重要なポイントですが、もしそれでも決めきれないとき是非参考にしていただきたいのが「みどころ」です。今年度の作品情報のみどころは(一部の作品を除いて)、撮影所で現場に携わる製作者が執筆を担当。監督の作風や得意分野、編集方法、ストーリーの肝など、配給会社や評論家とは一味違う、製作者ならではの視点から作品の魅力を紹介しています。「みどころ」は、公式ホームページ( http://www.historica-kyoto.com/ )の上映作品ページをチェックしてみてください。

[番外編]ドッペルゲンガーを目撃する

Photo:『ジャッジ・アーチャー』(Golden Network Asia Limited提供)

ここまで上映作品やチケットの情報を中心にご紹介してきましたが、ここでゲストの話をひとつ。今年度の海外ゲストにシュ・ハオフォン(徐浩峰)さんという中国の映画監督がいらっしゃいます。シュ監督はいま中国で最も注目されている武侠小説家の1人でもあり、またウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』では共同脚本および武道顧問として活躍した方で、ユニークな才能あふれる若き映画人です。
シュ監督は映画祭初日の11月30日(土)に、ご自身の最新作『ジャッジ・アーチャー』の日本初上映にあわせ、T・ジョイ京都にて2つのトークイベントにご出演されます。名門の北京電影学院監督科を卒業しながら、その後8年間にわたり武道・道教・仏教を独学し、武侠小説家としての成功を収めてから、ようやく映画界にその才能を投じたという興味深い経歴を持つシュ監督。お話を聞けるのが非常に待ち遠しい…のですが、トークイベントでタレントの飯星景子さんと一緒にシュ監督の対談相手を務める映画評論家のミルクマン斉藤さんが、あら、何ということでしょう、シュ監督にそっくりなのです(ご本人もSNSで呟かれておりました)。よく「世界には似ている人が3人いる」という都市伝説がありますが、ご自分の目で確かめたい方は11月30日(土)にT・ジョイ京都で上映される『フライング・ギロチン』や『ジャッジ・アーチャー』をご鑑賞いただき、是非トークショーにご参加ください。
ちなみに「シュ監督とミルクマン斉藤さんの2人だけじゃ都市伝説にならないじゃないか」と思った方、実は事務局スタッフにもう1人います。京都ヒストリカ国際映画祭は、「世界には似ている人が3人いる」の3人が集ってしまうミラクルが起こるかもしれない映画祭です。

この第5回京都ヒストリカ国際映画祭カウントダウン特集はまだまだ続きます。お得な前売券はe+(イープラス)等にて販売中です!では、また次回をお楽しみに。

PROFILE

第5回京都ヒストリカ国際映画祭

[The 5th Kyoto HISTORICA International Film Festival]

世界でただひとつ「歴史」をテーマにした国際映画祭。第5回目となる今年度は、京都・太秦の撮影所で製作されたお正月映画をひと足先に楽しめる【ヒストリカ・スペシャル】、変化の中にある世界中の歴史映画最新作を集めた【ヒストリカ・ワールド】、アニメが拓く歴史映画の楽しさを紹介する【ヒストリカ・アニメ】、デジタル復元で甦った映画史を埋める幻の名作が並んだ【ヒストリカ・クラシックス】の全4部門18作品を上映。

期間:2013年11月30日(土)~12月8日(日)
上映会場:京都文化博物館、T・ジョイ京都、MOVIX京都
URL:http://www.historica-kyoto.com/