アグロスパシアとは

「未来に遺す方舟」の建設にあたって
AGROSPACIA創刊マニフェスト

岩渕潤子(いわぶち・じゅんこ)/主筆・編集長

アグロスパシア株式会社が新たに立ち上げるウェブ媒体、AGROSPACIAは「宇宙へ続く都市と生活 — 人が生きるための技術の未来」を編集のテーマとします。星新一氏がいうところの「マッハ93というスピードで回転する地球」という宇宙船に乗り合わせた私たちが築く文明=都市、生きることそのものを未来に継承するための技術を探求すること……がミッションです。

AGROSPACIAは、「私たちは社会にイノベーションを起こすエンジンだ!」を合言葉に、今までクローズアップされることがまれだった、従来の「ベンチャー」の概念では定義の難しいニッチなテーマ……農業、漁業、飲食産業の非伝統的ビジネス・モデル、コンテンツ・ビジネスにおけるファン・マーケティング、次世紀のライフ・スタイル研究、地球以外の惑星で生きてゆくために必要となる技術、etc.を取り上げ、そこに関連するテクノロジー情報のアグリゲーションを独自の人脈、情報源を通じて行ないます。

AGROSPACIAは、2011年3月11日の東日本大震災を契機に「本当にやるベきこと」とは何かを模索し始めた教育者、クリエーター、研究者、法曹関係者、弁理士、若い自営業のビジネスマンたちが「危機に瀕する日本」という現状を見つめ、議論を重ねてきた一つの成果としてプラットフォーム化されたプロジェクトです。長いあいだ自信喪失状態にあった日本を覆う閉塞感を打ち破り、日本が復活するためにはイノベーションが必要で、その原動力となるためには若い才能を伸ばす必要があります。

AGROSPACIAは、たとえこの先、万が一日本が消滅するような事態に直面したとしても、日本人の知の遺伝子(seed)を世界に広めたい(disseminate)と願って、自社媒体を「未来に遺す方舟」と位置付け、新たな才能を世界に打ち出すカタパルト機能を果たしていきたいと考えています。

AGROSPACIAは、Global Investmentの次のキーワードとして、「人=個人への投資の尊さ」を明確に意識した「Creative Investment=新たな創造的価値への投資」を提唱します。そのためにAGROSPACIAは、所属する国家、人種、性別、性的指向に関係なく、世界で活躍する優れた個人への直接取材に基づく記事を提供し、これから世界へ飛び出してゆこうとする若い人たちを触発して、彼らが世界の叡智(えいち)と同じレベルで活躍できるよう見守ります。

AGROSPACIAは、個人の価値観と文化的多様性を反映する媒体として、新たな市場の可能性を開き、追求するため、国籍、年齢にとらわれない視点に立ち、多国籍ファミリーやLGBT経営者が着目するテーマ、市場分野を積極的に応援してゆきます。

星新一氏は、その著作『きまぐれ博物館』の中で「今年もまたごいっしょに九億四千万キロメートルの宇宙旅行をいたしましょう。これは地球が太陽のまわりを一周する距離です。速度は秒速二十九.七キロメートル。マッハ九十三。安全です。他の乗客たちがごたごたをおこさないよう祈りましょう」と述ベています。読者の皆さまには、未来に遺す方舟、AGROSPACIAを建設するバーチュアルな投資家となって頂き、舟が完成した暁には一緒にご乗船頂けますことを心より願っています。