十代の妊娠は女のコだけの問題ではない!
米・シカゴ市公衆衛生局が示した強烈なメッセージ
「こんなことになるなんて思っていなかった (UNEXPECTED)?」という大文字のコピー
と共に掲載された、臨月に近い大きなお腹の「妊娠した少年」の写真。
一瞬、何かの見間違いかと思わせるショッキングなポスターは、アメリカ、シカゴ市公衆衛生局(CDPH)が展開中の「十代での望まない妊娠」を防ぐための啓蒙キャンペーンで使われているものだ。コピーの続きには「十代での妊娠はほとんどが予期せぬものです」とあり、「望んでいないのなら、妊娠と性感染症(STI)は予防しましょう。コンドームを使うか(もう少しオトナになるまで)待ちましょう」と結ばれている。
現在、このキャンペーンは、写真の意外性からか、全米のみならず、世界各国で注目を集め、『アルジャジーラ』やドイツの『デア・シュピーゲル』、英国の『メイル・オン・ライン』など、海外主要メディアからの取材が殺到しているそうだ。
幣誌AGROSPACIAでは、編集長・岩渕潤子がCDPH局長(コミッショナー)、医学博士のベシャラ・シューケア(Bechara Choucair)氏に単独取材した。
「男のコが妊娠?」という不可思議なイメージ
5月14日付のシカゴ市公衆衛生局青少年・学校衛生課の公式プレスリリースによると、この大規模なキャンペーンは、十代の妊娠は女のコだけに責任があるわけではなく、父親である男のコにも責任を自覚し、子供を持つことの意味を真剣に考えて欲しいという意図で企画されたものだという。
市の公式ウェブサイトに詳しい情報を掲載しているほか、ポスターが市内のバス停、列車の駅、バスの車体などに掲示され、高校の近くには巨大ビルボード(屋外広告)も設置されて、それを目にした十代の青少年だけでなく、教師や親たちなど、大人を含めた議論をうながすことが期待されている。
キャンペーンの長期的なゴールは、全米でも突出して高い、シカゴ市に暮らす十代の若者たちの望まない妊娠の件数を減らすことだが、ティーンエージャーに啓蒙プログラムに参加してもらうため、まずは、できるだけ多くの人に関心を持ってもらう必要があるので、若干「ショッキング」とも受け取られる、十代の少年たちが「妊娠」したイメージを使用することにしたという。