2021/02/13 09:42

ロックダウンを発端に未来の可能性に賭けた決断―後編

Photo:アッシュビルの町中にあるビーバー湖 ⒸSatomi Oohama

ロックダウンを発端に未来の可能性に賭けた決断―後編

by 大濱里美(おおはま・さとみ)



大濱里美さんは兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学し、卒業後、現在のパートナーと出会って結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人のお子さんたちと共にニュージャージー州にお住いでした。その大濱さんご夫妻が、今回のコロナ禍の影響を受けて、マサチューセッツの大自然に恵まれた土地やニュージャージーの海辺を移動しながら過ごした経験と、その経験から下した決断についてご寄稿頂きました。今回はその後編です。

Photo:アートギャラリーやカフェが集まるリバーアート地区 ⒸSatomi Oohama

 先は一向に見えないながらも、夏が終わった後の生活をどうするのか考え始めた7月の初め頃、コロナの影響でニューヨーク都市部から流出してくる人たちの需要増により、私たちの住む町を含む郊外の家の値段が上昇しているとの話を耳にしました。好奇心から軽い気持ちで地元の不動産エージェントに連絡をとって話をするうちに、我が家がどの程度の値段で売れそうか査定してもらうことになり、その後、思うような値段で売れなければ売らなければいい、との気持ちで売りに出してみることにしました。すると一週間以内に複数のオファーがあり、買い手が決まったのです。

 買い手が決まるまでは、実際に家を売るかどうかわからなかったものですから、その後どこに住むのか具体的なアイデアがあるわけではありませんでした。同じ州内の良い学区域の町にしばらく家を借りて住むことも考えましたが、賃貸物件の在庫がほとんど無く、思うような物件は見つかりませんでした。それなら、と夫が言い出しました。どこでも好きなところに住もうじゃないか、と。ギリシャ人の義父が生まれ育ったアパートがあるギリシャや日本を含め、夢や興味のある場所をいくつかリストアップし検討した結果、今までの活動拠点と同じアメリカ東海岸方面で、美しい自然と、夫のビジネスのチャンスが期待できる町、ノースキャロライナ州のアッシュビルに決めました。

 アッシュビルは、私も夫も行ったことがない未知の土地です。夫のビジネス上での知り合いが1〜2人いる程度で、まったく新しい生活基盤を自分たちで築き上げていくことになります。夫が提案してきたとき、不安を全く感じなかったわけではありませんが、3月から家を離れて各地を転々としてきた経験から、家族が一緒ならどこででも生きていけるという自信は芽生えていました。

Photo:アッシュビル近郊の町のおもちゃ屋 ⒸSatomi Oohama

 子供ができて母親となって以来、私はリスクよりも安全を選択し保守的になってきたと思います。でも、自分の人生を振り返ってみて、人生の大切な節目となるタイミングでは、安全・無難な選択よりも、何が一番大切なのかを選び、リスクが伴う可能性に賭けてきました。アメリカに渡って来た時も、上場企業での仕事を辞めて、知り合いも将来の保証もない新しい土地で学生となることを選んでやって来ました。結婚前に、夫の家で一緒に住まないかと誘われた時、もし関係が終わってしまったら、アメリカで住む場所が無い状態になるリスクがあっても、気に入っていたアパートを手放して住み込みました。そういう選択を重ねてきた結果、今の私があります。今回のアッシュビルへの引越しも、未来の可能性と自分たち家族の強さ、そしてコロナ期に家族を無事導いてきた夫を信じて、賛同したのです。

 いざ、アッシュビルに来てみると、山に囲まれた豊かな自然とともに、アートや音楽、スピリチュアルな活動も活発なユニークで魅力的な町でした。また、自然派、アウトドア志向の人が多く、私たちの価値観と一致した馴染みやすい土地だったのです。現在の町の営みは、コロナの影響で本来の活気はまだ戻っていない様子ですが、自然はすぐ身近にあり、変わらず私たちを受け入れてくれています。9月に越して来てもうすぐ半年になりますが、今でも毎日のように夫とは夢みたいだねと語り合っては、私たち家族がみな健康でここにいることのありがたさを噛みしめています。
 

PROFILE

大濱里美(おおはま・さとみ)

兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学。卒業後、現在の夫と出会い結婚。夫婦関係で悩んだ経験から、カップルセラピーのイマゴメソッドを習得。主に国際結婚でのパートナーシップに悩むカップルのサポートを行ううち、一人一人の幸せ、生き方について意識をするようになり、マヤ暦を学ぶ。イマゴ認定プロフェッショナルファシリテーター/マヤ暦鑑定士・コーチ。生まれ持った資質や運気の流れを学び、自分らしく生きる、夢・目標の実現に向けたコーチングを実施中。2020年のコロナ期のロックダウンを機に、16年間住んだニュージャージー州からノースキャロライナ州の山間の町・アッシュビルへ引越す。自然に恵まれた環境で2児の子育て、パートナーシップ、そして自分らしく生きることの探求に取り組んでいる。
*大濱さんへの執筆・講演依頼、取材して欲しいテーマの具体的なご相談などがありましたら、info@agrospacia.comまで。