2018/09/20 17:43
夫の価値観を尊重したことで得られたこと・・・
ーカリフォルニアでの自然体験
Photo:キャンプ・エリアのお気に入りの場所「シークレットガーデン」 ⒸSatomi Oohama
夫の価値観を尊重したことで得られたことーカリフォルニアでの自然体験
by 大濱里美(おおはま・さとみ)
大濱里美さんは兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学し、卒業後、現在のパートナーと出会って結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人の子供たち(6歳と2歳)と共にニュージャージー州にお住いです。夫婦の関係について真剣に考えるイマゴ・メソッドと出会い、カップルでのワークショップに参加した経験を基に、妥協なく愛がある真のパートナーシップとは何か、また、イマゴ・メソッドとはどういうものなのかについて連載をお願いしています。
- Photo:キャンプの参加者たち
ⒸSatomi Oohama
夏の間、家族で旅行やキャンプに出かけた方も沢山いらっしゃると思います。我が家では、少し前になりますが、カリフォルニアで初キャンプ、そして「バード・ランゲージ」と呼ばれるユニークな自然プログラムを体験してきました。
「カリフォルニアに家族でキャンプに行こう」と、最初に夫が言った時は反対しました。1〜2年程前からウィルダネス・プログラム(Wilderness Program:厳しい自然の中で過ごすことで自己改革を促すセラピー)に関心を持ち、参加してきた夫以外はキャンプ未経験で、キャンプ用具を一式揃え、元気一杯の子供たち2人と共に、飛行機で6時間かけて西海岸へ飛んでまでキャンプをすることには気が乗らなかったからです。東海岸にも美しい自然は豊富にありますから。それでも、何度か対話を重ね、夫の強い気持ちと目的意識を聞くうちに、心が動かされ、結局行くことになりました。
私たちが参加したのは、バードランゲージの第一人者、ジョン・ヤング氏が率いる4日間のプログラムです。単に鳥の鳴き声を学ぶものだと思っていたら、予想以上に奥深いものでした。「バード・シット (bird sit)」と呼ばれる活動では、毎日同じ場所に30分程座り、自分の心と体の状態、天候、周囲の環境、そして鳥を、目・耳・肌・匂いなど全身を使って感じ、観察します。その後各グループで集まり、周辺の簡単な地図を描いた大きな紙に観察内容・・・どのタイミングでどの鳥をどこで見たか、どんな鳴き声を聴いたか、危険を知らせる鳴き声か、お喋りのさえずりか、飛んで行った方向、などーを皆で話し合い、書き込みます。そしてグループ全体で出来上がった複数のマップを合わせると、その土地の大まかな鳥の生態系が浮かぶようになるのです。
- Photo:シークレットガーデンの小径
ⒸSatomi Oohama
ジョン・ヤング氏は、バード・ランゲージの要素である注意力、沈黙、傾聴、観察し学んだことを伝えること、そして同じ場所に四季を通して静かに座り観察することを実践することで、自然と深く繋がり、価値観や行動に変化が生じるようになると言います。そして以下のような効果を挙げています。
・精神的な落ち着きや安らぎ、野外での好奇心、楽しむ心が育つ。
・深い傾聴力や多面的な注意力が身につき、聞き上手となり、思いやりの心が育つ。
・人や自然に対して高い意識と持続可能な態度が育まれる。
・生きるものすべてへの深い感謝と思いやりを持ち、生きていることへの感謝の気持ちが芽生え、家族や周りの人、人類そして自分自身への愛を感じるようになる。
バード・シット以外にも、様々なゲームや学びの場がありましたが、私にとって印象的だったのは「ドーン・コーラス (dawn chorus・夜明けのコーラス)」です。その言葉通り、まだ薄暗い夜明けに、鳥たちが起きだす頃、そしてまだ自分たちを襲う天敵が動きだす前に歌い出す、鳥たちの壮大なコーラスです。日の出と共に、様々な鳥の歌声があちこちから次第に聴こえ始め、まるで、広い空の下で新たな一日の始まりを祝う喜びの歌の大合唱のようでした。
実は、鳥が苦手な私でしたが、この経験以来、鳥に親しみを抱くようになり、鳥を通して、自然界を新たな角度から見る意識が芽生えました。夫婦って、お互いに影響し合うものですが、今回は、嫌々ながらも夫の関心事を一緒に体験したことで(夫が喜んだのは言うまでもなく)、私の世界が広がったのは貴重な経験でした。
Benefit of Respecting Husband’s Value Nature experience in California
“Let’s go camping in California.” When my husband first suggested, I refused. I didn’t want our very first camping experience to be overwhelming – flying over to the west coast with two energetic kids, with luggage and camping gear. However, based on his experience in wilderness programs, he had a strong belief in the value of being connected to the nature and a vision for our family. He eventually convinced me.
The camping included a program on “Understanding Bird Language.” It was led by Jon Young, one of the pioneers in the field. The experience we had was far beyond my expectation. In an activity called a “bird sit”, we chose a specific spot to sit in for half an hour everyday to observe our body, the climate, our surroundings and the birds using our senses. We then meet in groups and share what we observed, such as the kinds of birds, their callings, the timings and directions they occurred, etc. We then draw a simple map and put all of our observations including locations of sounds and sights on the map. When we share the maps with other groups who sat in different areas of the field, we can get a general idea of the birds’ habitat in the field.
The core routines of bird language include attentiveness, silence, listening, sharing, learning through storytelling, and sitting quietly in the same area day after day. Practicing these routines regularly leads to deep nature connection, which results in changes in values and behaviors. Some of the benefits of bird language include:
– It develops sense of inner calm and peace, awakens curiosity and increases enjoyment of the out-of-doors experience.
– The deep-listening skills and multi-dimensional attentiveness to the language of birds helps people to become better listeners and more attentive to others.
– It inspires people to become more helpful to their human and natural neighbors with a more conscientious and sustainable orientation.
– It fosters deeper appreciation and compassion for all living things.
One of the most impressive moments of the program for me was “dawn chorus”. It was a majestic song performed by the birds around dawn just before their predators start becoming active. Along with the sunrise, a variety of birds started singing gradually from different directions, and it eventually felt like a grand orchestra of Ode to Joy celebrating the start of a new day.
Although I had not liked birds before this experience, I became familiar with birds and through them I started seeing the surrounding nature with more curiosity. In marriage or a long-term relationship, we influence in each other to change for the better or worse. In this particular experience, by following my husband’s lead, it broadened my world and deepened my appreciation for the nature and for my significant other.
大濱里美(おおはま・さとみ)
兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学。卒業後、現在の夫と出会い、結婚。現在、心理カウンセラー/コーチの夫、7歳と3歳の子供たちと、ニュージャージー州在住。趣味は、ヨガ、水泳、ランニング、空・石・アート観賞。
2013年に、イマゴメソッドのカップルワークショップに夫と参加、自分とお互いの深い内面とその夫婦関係への影響に気づく衝撃的な経験をして以来、創設者ハーヴィル・ヘンドリクスとヘレン・ハント夫妻やイマゴ講師に、イマゴメソッドを学ぶ。結婚10年目を迎え、妥協なく愛がある真のパートナーシップを目指して、夫婦関係の改善に取り組んでいる。ブログ『イマゴ的夫婦生活 IN アメリカ』も執筆中。
*大濱さんへの執筆・講演依頼、取材して欲しいテーマの具体的なご相談などがありましたら、info@agrospacia.comまで。