2018/01/07 15:14

イマゴメソッドの専門家向けプログラムに参加して~後編~

Photo:ワークショップ会場近郊の景色 ⒸSatomi Ohama

イマゴメソッドの専門家向けプログラムに参加して~後編~

by 大濱里美(おおはま・さとみ)

大濱里美さんは兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学し、卒業後、現在のパートナーと出会って結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人の子供たち(6歳と2歳)と共にニュージャージー州にお住いです。夫婦の関係について真剣に考えるイマゴ・メソッドと出会い、カップルでのワークショップに参加した経験を基に、妥協なく愛がある真のパートナーシップとは何か、また、イマゴ・メソッドとはどういうものなのかについて連載をお願いしています。

Photo:ワークショップ会場。円になって座ります ⒸSatomi Ohama

イマゴメソッドの専門家向け進行役研修プログラムの第二部(10月19日〜22日)では、対二人組でイマゴメソッドを使用し、二人の間で効果的にコミュニケーションがとれて、繋がりが築けるように助ける方法、そして二人の対立や衝突をお互いの成長の糧となるように導く方法などを学びました。

二人組とは、夫婦やカップルに限らず、例えば職場の上司と部下、プロジェクトメンバー同士や自治会の会員同士など、何らかの意見の相違や問題を抱えた二人を対象にしています。プロジェクトメンバー二人の間で意見がまとまらず、プロジェクトが進まない。部下が何を考えているのか分からず、コミュニケーションがとれない。このような場合に、二人を対面させ、イマゴメソッドに従い対話を促すことで、表面的には業務に関する問題があっても、そこからそれぞれが本当に求めていること、相手の立場になって問題を見てみること、さらに相手の立場から自分を見てみること、そして状況を改善するために何ができるか、などを探求し、お互いの理解を深めることを目ざします。

Photo:近郊の農場が経営するオーガニック店にて
休憩 ⒸSatomi Ohama

夫婦など恋愛関係にある二人の場合は、イマゴ対話を通してお互いに子どもの頃に受けた心の傷を探求し、明らかにし、癒し・癒されることを最終的な目的にしていますが、恋愛関係ではない、上記の例のような関係(「機能的な関係」と呼んでいました)においては、相手の子どもの頃に受けた心の傷やトラウマなどを明かすことは不適切でもあり、癒し癒される意志もありません。このため、機能的な関係に対しては、恋愛関係の二人組に対してほど、深く心の問題を掘り下げることはしません。それでも、イマゴメソッドに従い対話をすることで、表面上の問題を超えて、自分と相手についての理解を深め、同意はしなくても共感を生みやすくなり、歩み寄りの姿勢を築く助けになります。

今回学んだことのなかでも、特に興味深かったのが、「チェンジ対話」という相手に変わって欲しいことがあるときに使える対話法です。単に「こうして欲しい、しないで欲しい」と言うのではなく、イマゴメソッドに従い、望まない、変わって欲しい行為をされたときの、自分の感情と反応を見つめます。そしてその反応に対して、相手はどう感じているのか、また二人の関係への影響について考えます。そして、この悪循環を断つために、まず自分に何ができるか、を考え、伝えた上で、相手へのお願いを伝えるのです。そうすることで、自分を押し殺すのでもなく、相手を抑えるのでもなく、二人で共に、状況改善へ取り組むことへとつながります。

チェンジ対話を試してみて、自分中心の世界から、相手には相手の世界があることに気づくことが出来て、人との関わり方が大きく変わることを感じました。この物事を見る視点を変えるアプローチは、対話に限らず、日々の生活にも活用できるなと思いました。

From the Imago Professional Training #2: Connecting the Two

The second segment of the Imago Professional Facilitators Program focused on how to help people in dyadic relationship to communicate and connect effectively and to use their conflicts for growth and empowerment.

The pair can be any two that have some issues or disagreements, such as a couple in a love relationship, a manager and a staff, or two members of a project or a community. A project is stalled because of some disagreements between project members. A manager is having difficulty in communicating with a staff. In such situations, we put the two face to face and help them by using Imago Dialogue look underneath the surface of conflict to reveal the underlying feelings and needs. By uncovering and addressing these feelings and needs, we aim to build a powerful connection between the two.

The ultimate goal of Imago Dialogue for a couple is to look deep into their childhood wounds and to heal and get healed with each other. However, for a pair who are not in a love relationship (we call it “functional relationship”), it is inappropriate to reveal their childhood wounds or trauma, nor do they have any intention to heal or get healed by each other. Therefore, we don’t dig as deep in the psyche for functional relationships as for love relationships. Yet the Dialogue helps the two people to come to better understand each other and create empathy. It helps shift the dynamics of the relationship to work towards rather than against each other.

One of the most powerful tools we learned was the “Change Dialogue”, which is a type of dialogue we could use when one of a pair wants the other to change. Instead of saying “I want you to change”, one will look at one’s own feelings and reaction when the other did something one wishes to change. One will then think about how that reaction would make the other feel and how it would affect the relationship. Then, one will state what one can do to stop the negative spiral and finally make a request to the other.

By looking at the issue as well as oneself from the other person’s point of view, and by considering what one can do to change before asking the other to change, we can avoid the agonizing battle of pointing fingers, being defensive and countering reactions. It helps create collaborative efforts to make things better in the relationship. This approach I want to keep in mind in my daily interactions with other people.

PROFILE

大濱里美(おおはま・さとみ)

兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学。卒業後、現在の夫と出会い、結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人の子供たち(6歳と2歳)と、ニュージャージー州在住。趣味は、運動(ヨガ、水泳、ランニング)、空・石・アート観賞。2013年に、イマゴ・メソッドのカップル・ワークショップに夫と参加、自分とお互いの深い内面とその夫婦関係への影響に気づく衝撃的な経験をして以来、創設者ハーヴィル・ヘンドリクスとヘレン・ハント夫妻やイマゴ講師に、イマゴ・メソッドを学ぶ。結婚10年目を迎え、イマゴ・メソッドを通して、妥協なく愛がある真のパートナーシップを目指して、夫婦関係の改善に取り組んでいる。

*大濱さんへの執筆・講演依頼、取材して欲しいテーマの具体的なご相談などがありましたら、info@agrospacia.comまで。