2017/10/15 16:16
イマゴセラピーの特徴について
Photo:Barnes and Noble書店の、恋愛・夫婦関係に関するコーナーの写真 ⒸSatomi Ohama
イマゴセラピーの特徴について
by 大濱里美(おおはま・さとみ)
大濱里美さんは兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学し、卒業後、現在のパートナーと出会って結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人の子供たち(6歳と2歳)と共にニュージャージー州にお住いです。夫婦の関係について真剣に考えるイマゴ・メソッドと出会い、カップルでのワークショップに参加した経験を基に、妥協なく愛がある真のパートナーシップとは何か、また、イマゴ・メソッドとはどういうものなのかについて連載して頂きます。
- Photo:ハーヴィル・ヘンドリクス著書「Getting the Love You Want」を含む結婚・夫婦関係に関する書籍の一部 ⒸSatomi Ohama
今回は、イマゴセラピーの特徴とその他のカップルセラピーとどう異なるのかについて書きたいと思います。私と夫は、イマゴセラピーに出会う以前も、カップルセラピーに通っていたことがありました。
何度かセラピストを変えつつ、カップルセラピーに通ってみて感じたことは、毎回、「こういうことがあった」と、夫婦喧嘩や意見の相違について、私と夫の意見をセラピストに聞いてもらうことは、第三者の見解や反応を得られるという点で、夫婦間でゴタゴタしている際にはプラスになったと思います。でも、一つの喧嘩・相違が終わっても、また新しい喧嘩の種はいくつでも出てくるので、結局何も前進していないように感じました。この終わりのないサイクルに対して、ずるずるとセラピーをただ続けていくことは嫌だなと感じていた時に、夫が、イマゴセラピーの創設者であるハーヴィル・ヘンドリックスとヘレン・ハント夫妻によるカップル向けワークショプを見つけてきて、夫婦で参加したのです。そこで、夫婦間に起こる一つ一つの事象の奥底にある、根本的な問題に意識を向け、ふたりで癒しのプロセスを始めるというアプローチを体験したのが、私たちのイマゴへの取り組みの始まりとなりました。
イマゴセラピーの特徴は、一言でいうと「対話」にあります。通常のセラピーは、カップルが横並びでセラピストに向かい、セラピストに話すのに対して、イマゴセラピーは、カップルが向かい合って座り、カップル間でイマゴメソッドにしたがって対話をします。セラピストは、横に寄り添い、対話を促し、安全な環境で安心して心を開いて対話ができるようにサポートする役割です。カップルそれぞれの個人セラピーでもなく、通常のカップルセラピーとも異なり、イマゴセラピーはふたりの関係性が中心になっています。
- Photo:向き合う二人 Ⓒpexels
イマゴセラピーでは、パートナーとの対話を通して、それぞれの見解、どう感じたのか、子供の頃に特に親との関係で受けた心の傷とどう繋がっているか等を知ることで、自分とは異なる世界をもつ相手を理解し、共感を生み、相手との繋がりーコネクションーの回復へと導きます。イマゴ対話は、自分自身の発見と解放のプロセスであると同時に、相手であるパートナーの癒しのプロセスにも深く関わることになるのです。私がイマゴと出会って得たことは沢山ありますが、なかでも夫とのコミュニケーションが大きく変わりました。夫には夫の現実や経験があって、それは私と異なっていいのだと意識するようになったことです。
夫婦間で起きたことについて話し合うとき、夫の現実、経験を聞くことは、時には自分が責められているように感じることもあります。自分の現実、経験を話すときには、「あなたがこうした」と相手を批判するのではなく、「私はこう感じた」というように、「私」を主語にして話すなど、安心して対話ができるようにするといった注意点があります。そのような注意点を踏まえた上でも、感情やエネルギーは理屈では収まりきれません。それでも、イマゴ対話を通して、最後まで相手の話を聴き、彼の立場で彼の経験を理解してみると、同意はしなくても、納得はいくものです。夫婦喧嘩が無くなったわけではありませんが、喧嘩後の関係の修復がうまくできるようになりました。そしてお互いの違いを理解できたら、また一歩、お互いの理解を深め、絆が深まっているように感じています。
What Is Imago Therapy?
My husband and I had been to couples counseling before we found the Imago Therapy. After going through several traditional therapists, what I felt was that yes, it was good to have a third party listen and give feedback rather than us getting stuck in a conflict by ourselves, but where does this end? I didn’t feel that we were making any progress because there was always something to fight over. It was when I was getting fed up with the couples counseling my husband learned about the Getting the Love You Want couples workshop ran by Dr. Harville Hendrix and his wife Dr. Helen Hunt who developed the Imago Relationship Therapy. We attended the workshop in 2013. We experienced the Imago approach of identifying fundamental issues that lie deep beneath each conflict and working on dialogue to heal ourselves and grow as a couple. It was a powerful experience and the beginning of our journey with the Imago.
One of the uniquenesses of the Imago Therapy is in the “dialogue.” In regular therapy, couples sit next to each other facing a therapist and talk to the therapist while in Imago Therapy couples sit facing each other and talk to each other following the Imago structure. An Imago therapist is there to support the dialogue and ensure safety so that the couple can really listen to and understand each other.
In the Imago Therapy, through the dialogue with your partner, you will be able to learn about each other’s feelings, points of view, and how they relate to the childhood wounds received particularly from the relationship with early caregivers. This will help you understand about your partner and create empathy and connection. The dialogue can be used as a process of recognizing and reclaiming parts of your lost self as well as a way to be deeply engaged in a healing process of your partner.
Through the Imago, one of the important things I learned was to be aware that my husband has his own reality and experience and it is ok that they are different from mine. It has shifted my perspective on our communication. It is often difficult to listen to my husband’s point of view as it makes me feel being criticized. Even when following the safety rules for a dialogue such as using “I” statements like “I feel…” to mitigate criticism or blame, logic simply cannot contain my emotions and energy. Still if I listen to him thoroughly and try to see from his point of view through the Imago dialogue, it can make sense even though I do not necessarily agree with it.
We still do fight, but we are getting better at restoring the relationship afterwards. I feel that when we learn about our differences,we are learning more about each other and deepening our relationship.
大濱里美(おおはま・さとみ)
兵庫県出身。化粧品メーカー勤務を経て、2004年に米国へ大学院留学。卒業後、現在の夫と出会い、結婚。心理カウンセラー/コーチの夫と2人の子供たち(6歳と2歳)と、ニュージャージー州在住。趣味は、運動(ヨガ、水泳、ランニング)、空・石・アート観賞。2013年に、イマゴ・メソッドのカップル・ワークショップに夫と参加、自分とお互いの深い内面とその夫婦関係への影響に気づく衝撃的な経験をして以来、創設者ハーヴィル・ヘンドリクスとヘレン・ハント夫妻やイマゴ講師に、イマゴ・メソッドを学ぶ。結婚10年目を迎え、イマゴ・メソッドを通して、妥協なく愛がある真のパートナーシップを目指して、夫婦関係の改善に取り組んでいる。
*大濱さんへの執筆・講演依頼、取材して欲しいテーマの具体的なご相談などがありましたら、info@agrospacia.comまで。