2017/09/21 07:00

第1回 海外で子育てしてみれば・・・ニューヨーク(後編)

Photo:自由の女神像をニューヨーク湾ごしにのぞむ ⒸAkiko Bianchi

第1回 海外で子育てしてみれば・・・ニューヨーク(後編)

by ビアンキ曉子(ビアンキ・あきこ)

ビアンキ曉子さんは英国のLondon School of Economicsで修士号取得後、日本に帰国して外資系金融機関に勤め、その後、ご主人の転勤でロンドン、香港での駐在を経験。2010年からはニューヨークで暮らし、二人のお子さんの子育て真っ最中です。留学や駐在先での就労、妊娠、出産、子育てを4カ国で経験したことを活かし、現在は、内閣府認定NPO法人 マザーズコーチ・ジャパンによる認定マザーズコーチとして活躍されています。現在海外で生活中の方、あるいは、これから海外で子育てにチャレンジする皆さんの子育てが少しでも楽に、そして楽しく、より充実した生活になるようにと願い、NY発の様々なお役立ち情報を発信する連載をお願いしました。

Photo:ワシントン・スクエア・パーク
ⒸAkiko Bianchi

セントラル・パークの東側とイースト・リバーとの間は、アッパー・イースト・サイドと呼ばれる高級住宅街です。元駐日大使のキャロライン・ケネディー氏や、トランプ大統領の長女イヴァンカ・トランプ氏をはじめ、名だたるエリートを輩出した私立校も多くあります。世界一流の物が集まるニューヨーク、経済力さえあれば、何でも手に入ってしまいます。自家用飛行機やリゾートの島を所有する人や、ヤンキースの野球場を貸し切っての子供のお誕生日会。それほどまでの超富豪でなくてもiPadは家族一人に一台づつ、ファーストクラスやビジネスクラスの飛行機でホテルはスウィートルーム、チケット1枚10万円もする人気のブロードウェイのミュージカルを家族で鑑賞し、週末はハンプトンの別荘へ・・・。勿論、その様な裕福な生活ができるのは一握りの人々(米国国民の0.01%以下と言われています)です。アンケートに答えてくれた、アッパー・イースト・サイドに住む比較的裕福な家庭の人々の多くは、経済的に不自由の無い暮らしを当然と思い、現実世界から切り離されたような生活を送る子どもたちが、物資主義へと育ってしまうのではないかと悩まれているようです。

次の質問の『ニューヨークの子育てで驚いた事』は、回答の幅が大きくありましたが、その中から2つご紹介します。学校の給食で野菜が少なかったり、お菓子が余りにも甘すぎるとのコメントは、日本人の方より多く聞きました。給食に関しては、公立校と私立校で格差があるのが現状です。最近は改善されつつあるとは言え、1種類しか野菜が出ない献立もある公立校の給食に対し、レストランで腕をならした「シェフ」が栄養価も考えた上でできるだけ無農薬の食材を使い、子どもたちにも人気の美味しい給食を作る私立校。育ち盛りの子どもたちの大切な食事に格差があるのは、とても残念な事です。

高額な育児費への驚きは、国籍や居住地、所得に関わらず共通でした。学費、習い事にベビーシッター・・・。狭いマンハッタン内では地代が高いため、テニスやゴルフはグループレッスンでも1回1時間5千円から2万円のところもあります。また、低学年の間は学校や習い事への送り迎えが義務付けられていること、また高学年になるまで家で子供一人で留守番をさせてはいけないことから、兄弟が別々の学校や習い事をしている場合は、殆どの場合はベビーシッターを雇わざるを得なくなります。その高額な費用もさる事ながら、大切な子どもたちを他人に預けるのですから、信頼の置けるベビーシッター探しの悩みはママ友の間でも一番多い話題かも知れません。

親の母国語や文化を教えることにより、自分のルーツを知ることの大切さ。誰もがそう思っていても、そう簡単ではないと言うのが言語に関わらず共通の回答でした。就学すると学校での時間が長くなり、宿題の時間も入れると、1日の大半を英語で過ごします。また、国際結婚により両親の母国語が異なる場合は、家族の共通語である英語を話すことが多いようです。子どもたちの英語力の方が母国語よりも強くなると、学校で学んだ事や気持ちを伝えるのが英語以外の言葉では難しくなります。そうした時に親として母国語にこだわるのか、英語であっても親子の会話を増やすことを優先するのか、との選択を迫られることもあるでしょう。本国への帰国を予定している駐在員の方は、母国語維持に凄まじい努力をされているようです。また、母国語を学ぶ子どもたちも、友だちが遊んでいる週末に補習校へ行くのを嫌がったりすることもあるでしょう。海外に住むだけでなれると思われがちな、バイリンガルやトリリンガルも、親子の努力あってこそですね。

以上、現在子育て中の方からのアンケートの結果を元にお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
ニューヨークでの子育ての生の声を少しでもお伝えできていれば幸いです。人種のるつぼであるニューヨークにおける多様性は、ニューヨーク特有の事かと思います。ただ、ニューヨークに限らず、海外に住んでいたり、国際結婚であれば、親の母国語と現地の言語とのバランスは懸念材料でしょう。また、ベビーシッターの問題は、国や都市に関係無く、共働きの家庭であれば気になされることだと思います。ニューヨーク特有のものもあれば、親として共通の悩みもあることでしょうし、読者の皆様の今置かれている環境や、子育てに関する価値観により、共感されることもあれば、驚かれる事もあったかと思います。皆様、それぞれ感じた事を編集部宛にお寄せ頂ければ幸いに存じます。今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

PROFILE

ビアンキ曉子(ビアンキ・あきこ)

東京都出身。 高校卒業後渡英。 London School of Economics修士号取得後、2000年に帰国して外資系金融機関に勤める。夫の転勤により、ロンドンと香港での駐在を経験。 2010年からニューヨーク在住。2児を育児中。 留学、夫の赴任先での就労、妊娠、出産、子育てを4カ国で経験。現在は、内閣府認定NPO法人 マザーズコーチ ジャパン認定マザーズコーチとして活動。自身の海外経験を活かし、海外生活や海外での子育てが少しでも楽に、そしてより楽しく、より充実した生活になる事を願い、コーチングを行なっている。ライフコーチの特性を活かし、200校以上あると言われているニューヨークの私立校から、生徒やその家族にとって最良の学校選びの為のアドバイスも行う。

ビアンキさんへの執筆、講演依頼、取材して欲しいテーマ、コーチングについてのご相談、また、記事に対する感想などがありましたら、info@agrospacia.comまで。