2016/04/28 22:35

第14回 NY:ファイナンシャル・エイドを使って、私立校で学ぶ Vol.1

Photo:チェルシー地区に位置する私立校アヴェニューズ(写真左側) ⒸHana Takagi

第14回 NY:ファイナンシャル・エイドを使って、私立校で学ぶ Vol.1

by 高木悠凪(たかぎ・はな)

 高木悠凪さんは、2010年にご主人の転勤に伴ってニューヨークにお引っ越し。大学時代、美術史を勉強していた高木さんは、2011年に女の子に恵まれて、以来、お子さんをベビーカーに乗せて美術展へ行くなど、いつも親子で積極的にアートに親しんでいます。今回は、高額とされる私立校についてとりあげています。

Photo:ブルースクールのパンフレット
ⒸHana Takagi

 
<とかく高額とされる私立校は富裕層だけのものなのか?>
アメリカの私立校は幼稚園~中学・高校までの一貫校が多く、公立校でいう州統一テストや中学・高校と度重なるお受験戦争にさらされることなく、各学校の方針に沿ってじっくりと教育を受けられることが魅力だ。一方、無料の公立校と比較して私立校の場合、キンダーガーデン(幼稚園)から年間2~5万ドル前後(約230万円~570万円)と、幼稚園から入学から高校まで卒業まで10年以上私立校に通うと日本円で約5000万円前後もかかることになる。※1 
 高額な学費の理由は大学顔負けの校舎や施設、それら施設の維持・管理費、スクールバス代なども含まれており、学費の他に寄付金などが別途必要となる。日本の私立校の比ではない高額さに溜息が出るばかりだ。
質の高い教育はお金を出して買うもの・・・私立校(幼~高)は富裕層だけのものと諦めてしまいがちだが、アメリカには私立の幼稚園入学時から受け取ることのできるファイナンシャル・エイド(以下:FAとする)という補助金制度がある。補助してもらった金額を一切返済する必要がないプログラムもあり、志望校の試験・審査を通り、この補助金制度を活用すればその学校に進学することが可能となる。

Photo:熱心に聞き入るNYママ達 ⒸHana Takagi

 
<ファイナンシャル・エイド(FA)とは・・・>

 ここではファイナンシャル・エイド(FA)を、学費負担軽減のための金銭的支援プログラムの総称とし、各世帯の収入や預金残高・資産などに応じて、私立校に進学するための学費を補助する制度の典型的なものを紹介する。  
 SSSNAISやTADS、FAFSA※2などのファイナンシャルエイドを支給する協会は全米にいくつか存在し、志望する生徒の保護者はまずそこに必要書類(アメリカでの世帯収入や預金残高証明書や税金の支払い状況など)を送ることになる。援助額の算定方法は、SSSNAISの場合、志願者がウェブサイトから志望校名を書き込むと、各家庭が支払えるであろう学費をSSSNAISが試算し、志望するすべての学校にオンラインでその金額が通知される仕組みだ。
 この試算額に基づいて各学校は合格が決まった生徒に対していくら援助をするのかの金額を決定する。同じ生徒でも学校によって援助の額が違うこともあるようだ。審査は毎年行われ、収入・資産状況に応じて援助額は変わる。各学校のホームページでも授業料と一緒にFAについて詳しく説明されており、すぐに審査してもらえるようにリンクが貼られていることも多い。FAを受け取る生徒の学校ごとの割合はおよそ20~30%と、富裕層以外の生徒にも門戸はかなり開かれていることが分かる。
 マンハッタンにあるアベニューズ(AVENUES)という学校では、2015-16年度、500万ドル(約5億6000万円)以上にのぼる額を全校の12%の生徒にFAとして支給した。このようなFAの制度を利用することで、年間4万ドルの学費を1万ドルの支払い(3万ドル分がFAで賄われ返済の義務なし)でマンハッタンの志望校に入学できたというケースもあるほど、その助成金額の大きさには目を見張るものがある。

※1 為替レート1ドル/114円換算 (2016年2月15日現在)
※2 School & Student Services by NAIS(National Association of Independent Schools)アメリカ全土の2400校を超える学校が加盟するFAを支給する協会。SSSNAIS
TADS (Tuition Aid Data Services) 
FAFSA (Free Application for Federal Student Aid)

PROFILE

高木悠凪(たかぎ・はな)

内閣府認証NPO法人 マザーズコーチジャパン認定 マザーズコーチ。広島県出身。2010年より、夫の赴任によりNYに駐在中。2011年、女児を出産。大学時代は西洋美術史を専攻。アクセサリー会社から生活雑貨店勤務を経て現在に至る。趣味の芸術鑑賞にNYはもってこいの場なので、オペラ、クラシック、ジャズ、メトロポリタン美術館、MoMA、グッゲンハイム…などに足繁く通いながら、育児に奮闘の日々を送っている。子育て・産後のキャリアチェンジ・家族やママ友の人間関係など、子育てママ向けのコーチングを実施中。

*高木さんへの執筆・講演依頼、取材して欲しいテーマ、コーチングについてのご相談などがありましたら、info@agrospacia.comまで。