2014/07/15 12:00

第8回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 田中 美弥さん

Photo:30代女性をターゲットとしたELLIFEの店舗 ⒸMiya Tanaka

第8回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 田中 美弥さん

by 深水 エリナ(ふかみ・えりな)/ 析得思(上海)商務諮詢有限公司 総経理

アグロスパシア株式会社は「私たちは社会にイノベーションを起こすエンジンだ!」を合言葉に、従来の「ベンチャー」の概念では定義の難しいニッチなテーマ、次世紀のライフ・スタイル研究、地球以外の惑星で生きてゆくために宇宙で必要となる技術…などを取り上げ、そこに関連する人と情報のアグリゲーションを目ざしています。

深水エリナさんは、自身も上海でマーケティング&セールス・コンサルティングを専門とする会社を立ち上げて活躍中ですが、『AGROSPACIA』では深水さんの協力を得て、上海を中心にアジアでダイナミックにビジネスを展開する人たちをご紹介するインタヴューのシリーズを連載しています。

今回の第8回目では田中美弥さんが登場。ヤマトインターナショナル株式会社のブランド、“AMBER” や “Switch Motion” のデザイナーを務め、株式会社プレールにてファッション業界のコンサルティングに携わったのち、2011年3月に同社中国事業立ち上げのため上海へ。2012年3月より、株式会社シークインターナショナルの上海子会社粹郁(上海)時装商貿有限公司の副総経理となり、中国で30代女性をターゲットとした “ELLIFE” の店舗開発や店舗管理、販売員の教育などを行っている、これからの活躍が期待されるお一人です。

Photo:3月にオープンした丸久商店@宋園路99号
ⒸMiya Tanaka

深水:田中さんが来た2011年は日中関係もあまりよくなかったと思うのですが、上海に来る抵抗はありませんでしたか?

田中:全くありませんでした(笑)。というのも私の父も私が小さい頃から仕事で中国によく行っていて、中国の話を良くしてもらっていたからということもあると思います。あと、家の中にも父が買ってきた中国からの骨董品がたくさんあり、気づいたら回りに中国文化が存在していたという感じでしょうか。そんな環境で育ったので、自然といつかは中国に関わりたいと思っていました。まさか自分が駐在で上海に来るとは思っていませんでしたけど。

深水:もともとファッションに興味があったのですか?

田中:私は背が高いことも合って、既製服ではサイズも合わないし、キレイに着られません。そんなことをとてもコンプレックスに感じていました。だったら自分が洋服を作ればいいんだ!ということに気づきました。そこからファッション業界に興味を持ち、アパレル会社に就職し、キャリアブランドやカジュアルブランドのデザイナーとして5年ほど洋服のデザインをしていました。

そのあと、パリコレなどのコレクションのトレンド分析やショップリサーチなど、アパレル会社のマーケティングサポートを行っている会社に転職をしました。上海に来たのもこちらの会社の上海進出に合わせ、駐在として来たのがきっかけです。この時立ち上げた中国法人は日本、中国、台湾の合同会社だったのですが、なかなかうまくコラボすることが出来ず、残念ながら1年で日本に戻ることになってしまいました。ただ私はまだ上海に残って、もう少しこの市場をみたいと思い、今の会社に転職を決めました。

深水:今の会社では30代の女性に向けたブランドを展開しているとか。30代の女性をターゲットにしている服は中国で珍しいですよね。

田中:はい。“ELLIFE”という30代の女性をターゲットとしたブランドを展開しています。今までの中国には、10代や20代の若者を対象とした安くてトレンド感のあるファストファッションか伝統的な中国モチーフのおばさんっぽい服のどちらかに偏っており、ちょうど中間の年代の人が着られる服があまりなかったんです。“ELLIFE”はちょうど35歳くらいの子供のいるお母さんをメインターゲットと考えており、素材は麻、色はベージュなどアースカラーの休日にゆったりと着られる服を目指しています。

今は蘇州の久光百貨店ともう一店舗で直営店展開、上海ではISETANなどの百貨店の催事コーナーで販売をしています。弊社のスタッフもとても良くやってくれていますが、店舗に顔を出さないと店が崩れていたり、コーディネートがおかしかったりするので、週に1回は実際に店舗に行くようにしています。

深水:昨年ご結婚されましたよね、ライフスタイルは以前と変わりましたか?

田中:人生のパートナーに出会えたことはとても良かったと思っています。仕事をやめたわけではないので、大きな変化はないのですが、今年3月に主人が上海の虹橋エリアに飲食店をオープンしたので、仕事帰りにお店の手伝いをするようになりました。昼間の仕事もあるので、体力的にしんどいときもありますが、お客さんの反応を見ることができるのはとてもいいですね。ちなみにゴマだれが効いた餃子がオススメです!ぜひ遊びに来てくださいね。

深水:ぜひ遊びに行かせていただきます!今日はありがとうございました!

PROFILE

田中 美弥(Miya Tanaka)
粹郁(上海)時装商貿有限公司
副総経理

ヤマトインターナショナル株式会社のブランド、“AMBER” や “Switch Motion”のデザイナーを務め、株式会社プレールにてファッション業界のコンサルティングに携わる。2011年3月に同社中国事業立ち上げのため上海へ。アパレルの販路開拓や中国市場のリサーチ、ストリートスナップの撮影などを手がけたのち、2012年3月より株式会社シークインターナショナルの上海子会社粹郁(上海)時装商貿有限公司の副総経理に就任。中国で30代女性をターゲットとした “ELLIFE” の店舗開発や店舗管理、販売員の教育などを行っている。

http://www.seek-inter.co.jp/index.html

深水 エリナ(Erina Fukami)
析得思(上海)商務諮詢有限公司
総経理

アパマンショップホールディングス、中国・インドでマーケティングリサーチ&コンサルティングを行うインフォブリッジを経て、2013年アイザックマーケティンググループの析得思(上海)商務諮詢有限公司の総経理に。
中国市場で事業を行う日系企業に対し、データ分析(統計解析やデータマイニング、テキストマイニングなど)やデータを軸としたシステム開発、ビジネスインテリジェンスサービスを提供している。
2008年より上海在住。
http://cds-cn.com/
http://chinabzz.com/