2014/05/26 12:27

第7回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 佐藤 恵理さん

Photo:佐藤恵理さんの作品 ⒸIDEA HAIR & MAKE

第7回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 佐藤 恵理さん

by 深水 エリナ(ふかみ・えりな)/ 析得思(上海)商務諮詢有限公司 総経理

アグロスパシア株式会社は、「私たちは社会にイノベーションを起こすエンジンだ!」を合言葉に、従来の「ベンチャー」の概念では定義の難しいニッチなテーマ、次世紀のライフ・スタイル研究、地球以外の惑星で生きてゆくために宇宙で必要となる技術…などを取り上げ、そこに関連する人と情報のアグリゲーションを目ざしています。

深水エリナさんは、自身も上海でマーケティング&セールス・コンサルティングを専門とする会社を立ち上げて活躍中ですが、『AGROSPACIA』では深水さんの協力を得て、上海を中心にアジアでダイナミックにビジネスを展開する人たちをご紹介するインタヴューのシリーズを連載しています。

今回の第7回目は、東京で雑誌・テレビ・広告・ファッションショーなど幅広い分野でヘアメイク、スタイリストとして活躍したのち、2005年上海に拠点を移し、IDEA創設からクリエィティブディレクターとしてサロンのブランドイメージを統括する傍ら、TV・広告・雑誌・ショー等でも活躍。サロンワークでは、日本テイストはもちろん、中国系・欧米系など異なるニーズをよみとり、独自の視点でデザイン。常に新鮮でときに意外性のあるスタイルを提案。多国籍に女性からも男性からも高い支持を得ている、佐藤恵理さんが登場します。これからさらなる活躍が期待される一人です。

Photo:佐藤恵理さんの作品 ⒸIDEA

深水:佐藤さんは、上海長いですよね。初めて上海とご縁が出来たのはいつなのですか?

佐藤:はい。長いです。笑 最初の反日デモのあった2005年から住んでいるので、まもなく10年ですね。ちなみに、上海とのご縁は、たまたま見ていたテレビ番組の中で私と同年代の女性がVIDAL SASSOONのショーでヘアメイクとして活躍しているシーンを見たんです。それまで、海外で若い女性が働けるなんて考えたこともなかったので、強烈に印象に残ったのを覚えています。そこから“いつかは上海に行く!”と、機会を伺っていました。そんな時にたまたま上海人の方がお客さんとしてお店に来たんです。このお客様にいろいろご紹介いただき、上海に来るきかっけとなったパートナーとも知り合え、上海での美容サロンの立ち上げという仕事に出会うことができました。

深水:今はどのようなお仕事が多いのですか?

佐藤:今は、 IDEA Colorful店でのサロンワークをしながら、雑誌やテレビ、ショーなどのヘアメイク、講習会も行っています。サロンのお客さんは、今では中国の方が6割を超えており、日本人のお客さんは3割ほどです。中国人のお客さんは日本人と比べると、長さや漠然としたイメージしかなく、それ以外はお任せというお客さんが多いですね。そういう意味では、日本人のお客さんよりも、プロとしての提案力が求められていると思っています。ちなみに最近は“アジア”を意識して仕事をしているようにしています。

Photo:韓国人の美容サロンオーナー、美容師向けの講習会in上海 ⒸEri Sato

深水:“アジア”を意識して仕事をするというのは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?

佐藤:先月韓国から美容サロンオーナーや美容師の方が上海へ視察に来ていたのですが、その中で「「アジアにおけるヘアデザイン」をテーマの講習を担当させていただきました。上海ではやっている髪型やファッションはもちろん、日系サロンなのにどうやって中国人を集客するのかなど、かなり細かいところまでお話させていただきました。この講習で感じたのは、今までは上海で働いている日本人として、日本のはやりをどうやって中国に展開するかというのが私に求められていることだったのですが、今回は日本人美容師である私が、上海で、韓国人の美容サロンオーナーや美容師に中国人にサービスする上で日々感じていることを話すという不思議な三角関係。まさに、これがアジアで働くってこういうことなんだなぁとしみじみ思いました。来月は、ニューヨークで現地のサロンと交流をするのですが、美容・ファッションの最先端の街の技術を盗むだけではなく、アジアで働く美容師としてニューヨークの美容師にも刺激を与えられたらいいなぁと思っています。

深水:佐藤さんによって、上海というのはどのような街なのですか?

佐藤:上海はとにかく魅力的な都市だと思います。まさに魔都上海。「こういう人に逢いたい!」とか「こういう自分になりたい!」という、日本ではあまり肯定されない野心や欲望も努力次第で実現できる街だなぁと思っています。たまたま先日も「こんな仕事がしたい!」と回りに宣言していたら、ちょうどその関係者にお会いすることができたんです。本当に引き寄せってあるんだなぁと思いますね。自分が欲しいと思ってそれに向けて行動する、そうすると叶えていけるんです。逆にいうと日々に流されて生活しているタイプの人には上海には向いていないでしょうね。

PROFILE

佐藤 恵理(Eri Sato)
上海藝帝亜美容美髪有限公司 / IDEA HAIR & MAKE
CTO & CREATIVE DIRECTOR
佐藤 恵理

東京出身。東京にて雑誌・テレビ・広告・ファッションショーなど幅広い分野でヘアメイク、スタイリストとして活躍したのち、2005年上海に拠点を移す。IDEA創設からクリエィティブディレクターとしてサロンのブランドイメージを統括する傍ら、TV・広告・雑誌・ショー等でも活躍。サロンワークでは、日本テイストはもちろん、中国系・欧米系など異なるニーズをよみとり、独自の視点でデザイン。常に新鮮でときに意外性のあるスタイルを提案。多国籍に女性からも男性からも高い支持を得ている。

Style

深水 エリナ(Erina Fukami)
析得思(上海)商務諮詢有限公司
総経理
アパマンショップホールディングス、中国・インドでマーケティングリサーチ&コンサルティングを行うインフォブリッジを経て、2013年アイザックマーケティンググループの析得思(上海)商務諮詢有限公司の総経理に。
中国市場で事業を行う日系企業に対し、データ分析(統計解析やデータマイニング、テキストマイニングなど)やデータを軸としたシステム開発、ビジネスインテリジェンスサービスを提供している。
2008年より上海在住。
http://cds-cn.com/