2014/06/06 12:00

第5回 LGBTってなんだろう?
東京都豊島区議会議員:石川大我さんをお迎えして

石川大我さん(向かって左)と登壇者の皆さん ⒸArisa Ishikawa

第5回 LGBTってなんだろう?
東京都豊島区議会議員:石川大我さんをお迎えして

by 藤牧 望(ふじまき・のぞみ)& 中村 聡子(なかむら・さとこ)

 2014年5月3日(祝)、青山BBラボ主催で第2回めの公開勉強会を開きました。”LGBTってなんだろう?”と題し、メイン・ゲストに東京都豊島区議会議員の石川大我さん、パネリストとしてアパレル関係の会社を経営されているSEIMEIさん、占い師の悠芽珂さんに登壇していただき、聴衆にはLGBT当事者の方たちだけでなく、多くのアライ(非当事者のLGBT支援者)が参加しました。司会/モデレーターは青山BBラボの菱沼聖哉。

Photo:フレンチトーストも美味しかった!
ⒸArisa Ishikawa

 今回の勉強会は、銀座にあるマハナというハワイをテーマにしたレストランを会場にして開催された。「マハナ」という言葉は”あたたかい”を意味しており、実際にお店の雰囲気はとてもフレンドリーであたたかかった。ハワイでは既に同性婚が認められており、その意味でもあたたかい、と石川大河さんが指摘され、この勉強会がマハナで開かれたのは素敵なことだと感じた。

 勉強会ではまず、開催された5月3日が憲法記念日ということで、基本的人権の尊重とからめて日本でのLGBTの権利はどのようになっているかを考えた。「日本国憲法には、結婚についての記述で、”両性の合意に基づき…”という規定があり、一見すると同性同士の結婚を制限しているように見えるが、本当はそうではないと思う。昔は本人たちの合意なしに行われる結婚というものが多くあったために、そうならないように定義がある。だから今の憲法の中でも十分同性婚の制度を創ることができるはず・・・」と石川大我さん。具体的には、パートナーシップという準結婚のような形、または同性婚についての法律をつくることが今の憲法下でも可能である、と話した。SEIMEIさんも、パートナーシップの制度がすでに認められているフランスの例を挙げて、既成の枠組みを越えてゆくことに意味があるのではと述べた。悠芽珂さんは、同性同士の結婚が、ストレートのひとたちの結婚と同じようにできるようになることは良いことだと思うが、結局は本人の意思が一番大切であるということ。当事者にとって、そのような法律が望まれるなら必要なのであり、LGBT当事者としての悩み、思い、問題などをよく考えることが重要・・・という意見。

 国によって同性どうしでの結婚についての状況や考え方は様々だが、「結婚」に関して性別を障壁にする必要はないという考え方が世界の趨勢となってきており、「LGBT」「ストレート」と別々に考えるのではなく、「すべての人のこと」としてとらえるのが世界の流れであると強く感じた。 

 
 お話の中では、カミングアウトについての話題も。石川大我さんはインターネットが普及するまで、LGBTの当事者に出会ったことがなかったそうだ。コンピュータが家に来て、インターネットに接続して、「その時初めて自分と同年代の当事者がいると知り、インターネットによって一気に友達が増えた。当時から憲法に関心があり、LGBTの人権について考えてもいたので、そのためには自らもカミングアウトする必要があると思うに至った」と、カミングアウトまでの経緯や、インターネットの普及でLGBTの当事者同士で知り合う機会が飛躍的に増えたと述べた。

 
 これに関連して、少し年配のSEIMEIさんは、携帯電話もなかったような時代では、LGBTの人たちはゲイバーなどでしか知り合えなかった。しかし、今ではメディアで知り合える時代になったということ。カミングアウトは、そうすることがすべて良いというわけではなく、する必要がないという考え方、する必要はないと考えている人もいるのだということを指摘。自分をセクシャリティによってだけではなく、”人”として見てほしいから・・・という考えは、カミングアウトについてのさまざまな見解のひとつであり、今回の勉強会のように、多くの人が話し合い、意見を交換することの大切さを感じた。カミングアウトについては、複雑な事情もある。たとえば、病床の、明日をも知れぬ老親に自分がLGBTであると一方的に告げることが、一概に良いことと言えるだろうか。実際は、そうとも言い切れず、かなり難しい判断になるだろう。現実には様々な例があるということで、一口にカミングアウトといっても、そこには様々な考えや複雑な事情があるということを知った。

Photo:東京レインボーウィーク実行委員会のメンバーと関係者で記念撮影 ⒸArisa Ishikawa

 このほか、石川大我さんの「LGBTという言葉自体、あまり知られていなかった。LGBTの人たちが一度集まって語る場をもうけて話し合いをし、話し合うなかで結局はLGBT、ストレートといった区分は関係なく、その人自身であるということが重要なのだ、というところにたどりつき、LGBTという言葉がふわっと消えたらいい」という言葉が深く印象に残った。当事者を表す表現として、LGBTという言葉を多くの人に知ってもらいたいという意見がある。しかし一方では、その言葉がLGBTの人たちをその他と区別して考えることにつながるという意見もある。差別が無くなれば、社会の中でLGBTという言葉も必要ではなくなることが理想であり、それが段階を踏んで実現していけば、今より少し暮らしやすい社会になるのではないかと考えた。

 勉強会の終盤では質疑応答や、各テーブルでのグループ・ディスカッション(テーマ:今後日本でLGBTの人が暮らしやすい社会を創っていくにはどのようなことが必要なのか)も行われた。インターネットをはじめとするメディアのおかげで、LGBTの人たちが出会うチャンスが増えた半面、カミングアウトしている人とそうでない人との関係など、LGBTの当事者同士のコミュニケーションにおいて新たに生まれた課題があるということも認識できた。グループでのディスカッションでは、確かに結婚には愛があれば法で認められなくてもよいと考えることはできても、生活していくためにはその権利が保障される必要があるという指摘があった。
 これについて石川大我さんは、LGBTは身近な存在であることを多くのひとに知ってもらうこと、また、アライ(非当事者のLGBT支援者)のサポートが同性婚を認める法律整備への大きな助けになると述べた。参加者の中からは、LGBTの側の課題として、アライのサポートを待つだけでなく、当事者自身が自分たちの生活や権利のことを積極的に話し合うことによって、もっと多くの人たちを巻き込んでいけるのではないかという意見も出た。今回の勉強会ではLGBT、ストレートの両者が同じ場を共有できたことで、さまざまな立場からの意見を聞くことができ、多くの気づきがあったのは有意義なことだった。

 最後に、悠芽珂さんは、「どのようなコミュニティーであれ、内部の人たちが生き生きしていると自然とまわりを巻き込むことができますよね」、SEIMEIさんは、「さまざまな世代の人、さまざまな立場のひとと出会うことのできる機会が増えてきたことは、差別のない、究極的に人間として互いに支え合えるひとつの地球が見えてきたといえます」、そして石川大我さんが、「新しい出会いが増え、喧嘩しつつも、仲良くやっていけたらいいですね」と、しめくくった。

 ゴールデンンウィークのまっ只中に、スピーカーとしていらしてくださった石川大我さん、SEIMEIさん、悠芽珂さん、そして今回の勉強会に参加してくださった70名にも上る多くの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。