第3回 LGBTってなんだろう?
レクチャーとディスカッション Vol.3
LUSHジャパンのチャリティ&エシカル・キャンペーン担当をお迎えして
2014年3月29日に青山学院大学青山キャンパスにて行われた、LUSHジャパンのチャリティ&エシカル・キャンペーン担当者・高橋麻帆氏をお招きしての勉強会『LGBTってなんだろう? レクチャーとディスカッション Vol.1』。連載第3回めは、会場で行われた質疑応答とディスカッションを紹介します。
■会場からのコメント
北丸氏:「地球、人、動物…すべてのいのちがハッピーになること、というピュアな思いで活動されているということでしたが、その一方で企業はどうしても利益を上げる必要がありますよね。その面においては、極めて戦略的にやる必要があります。
先日のバレンタインデーでは多くのひとがピンクトタイアングルのペイントに参加しましたが、このピンクトライアングルにはナチスの時代に同性愛者が抑圧され、ガス室に送られた壮絶な歴史があります。それを経てアメリカや色々な国のゲイの人たちがピンクトライアングルをLGBTへの連帯のシンボルとして使うようになった。ようやく日本でもLGBTに関する取り組みが行われるようになってきているのは素晴らしいことだと思います」
岩渕氏:「目標を定めて、具体的な結果をもたらすには、何か行動をおこさないといけない。それを民間企業が自主的に行っているということに感銘を受けました。日本では、LGBTに対する表立った暴力行為などはほとんど無いようですが、マイノリティの人たちへの偏見が無いわけではない。そうした問題を議論すらしようとしない社会であることが問題であると思う」
■コメントに対して高橋氏から
高橋氏:「UK などでは、さまざまなムーブメントがあります。学生や多くの企業とつながることで、より大きなムーブメントを作ることができました。日本でも何かキャンペーンを行おうとしたら同じだと思います。コーリション(連携組織)をつくって多くの人たちと手をたずさえることによって、できるだけそのムーブメントを大きくすることが大切です。
LUSHでは、お客さまと一緒に行動を起こすという意識を持っています。LUSHの店舗で、商品やキャンペーンを通して一つの事実を知ったら、その人がどのようにその問題を持ち帰って、どのような行動を起こすか…その橋渡しの役割ができたらと考えています。お客様ひとりひとりがするそのアクションが、全体の何につながっていくのかということを、強要するのではなく、お客様自身が考えるきっかけになってほしいのです。商品自体もですが、問題意識も含めて、持ち帰るものが多く、それを誰かに伝えることができるようなキャンペーンを目指しています。そのキャンペーンによって何を目指すのか、お客さまをはじめとした多くのひとたちとどのようにコミュニケーションを取っていくのか、という点が非常に重要なのです。
■Twitterを使ったLUSHのピンクトライアングル・キャンペーンで、実は日本での反響が最も大きかったという事実について
岩渕氏:日本では当事者ではない女性の反響がとても大きかったようですが、それは日本だと、プリクラや携帯の写真などで自分が写真に撮られることに抵抗がない人が多いということと関係しているのでは…?
北丸氏:SNSが発達した今、メッセージを発信すればそれは一気に世界中に届く。「伝える」ということにおいて、今はハッシュタグを使って社会を変えることができる時代です。誰でも簡単に出来てしまうので数年後には飽きられてしまうことは考えられますが、少なくとも今は、ポジティヴに考えることができます。次の手を考えながらも、このハッシュタグをはじめとするSNSを使わない手はないですね。LUSHが社会の変革起こそうという意図を持ってSNSを使っているのはとても効果的だと思います。
LGBTについての課題は、少数の当事者だけの問題ではなく、むしろ、多数の非当事者の問題でもあるということをみんなが認識することは極めて重要でしょう。
■BBラボの意義とこれからの課題
青学BBラボが、主に非当事者の学生によって行われている活動であることになぜ意義があり、価値があるのか。その答えは北丸氏の「LGBTについての課題は、少数の当事者だけの問題ではなく、むしろ、多数の非当事者の問題でもあるということをみんなが認識すること」という言葉の中にあるのではないだろうか。最後に学生から高橋氏への質問があった。
質問:これから私たちのラボが活動していく上で、意識すべきことは何でしょうか?
高橋氏は少し考えた後に、「なぜ自分たちがこの活動をやっているのかという『ぶれない信念』が必要だと思う。今やっているアクションが何につながっているのか、それを意識していれば、BBラボさんの活動もうまくいくと思います」と述べ、ディスカッションをしめくくった。
今回の勉強会は、LUSHがキャンペーンを展開するにあたって大切にしてきた信念や活動を社会の変革につなげることの重要性を学ぶ良い機会となった。また、LGBT当事者と非当事者の間の認識の違いや問題解決の糸口を発見できる機会ともなり、青学BBラボが多様性豊かな社会を作るためにできることは何かを考える貴重な機会でもあった。今後は、こうした学びの場を、より多くの人たちと共有してゆくことを目ざしたい。
青学BBラボにとって出発点といえるこの勉強会で、貴重なお話をして下さったLUSHジャパンの高橋氏に感謝すると同時に、今回学んだことを今後のラボでの活動に生かしていきたいと思う。
(了)