2014/04/25 12:00

第2回 LGBTってなんだろう?
レクチャーとディスカッション Vol.2

LUSHジャパンの高橋麻帆さんによるレクチャー風景 Ⓒ Arisa Ishikawa

LUSHジャパンの高橋麻帆さんをお迎えして

by 書き起こし/文責:村上諒子(むらかみ・りょうこ)、藤牧望(ふじまき・のぞみ)、中村聡子(なかむら・さとこ)

 2014年3月29日、青山学院大学青山キャンパスにおいて、LUSHジャパンのチャリティ&エシカル・キャンペーン・マネージャーである高橋麻帆氏をお招きして、青学BBラボの記念すべき第1回勉強会が開催されました。今回の勉強会は『LGBTってなんだろう? レクチャーとディスカッション Vol.1』と題し、英国に本社のある化粧品メーカーLUSHがこれまで行ってきた様々なキャンペーンについてご紹介頂き、中でもLGBTイシューをフォーカスして考える場となりました。
 勉強会にはBBラボのメンバー、一般の学生、岩渕潤子氏をはじめラボ協力教員の方々、さらに、NYから来日中だったジャーナリストの北丸雄二氏にも参加して頂き、多くの新しい気づきと活発なディスカッションが行われました。

■ショップはメディア~エシカル・キャンペーンについて~

ショップで行われたエシカル・キャンペーンの話題になると、高橋氏から興味深い言葉を聞くことができた。

「ショップは最大のメディアである」

キャンペーンを店舗で展開することによって、化粧品を買うためにやって来たお客さんに、ショップに来るまでは知らなかったことについて知ってもらうことができるというわけだ。

エシカル・キャンペーンの最初の事例として紹介されたのは、化粧品のための動物実験反対について。高橋氏によれば化粧品の動物実験は、うさぎを使って行われることが多いのだという。「なぜだと思いますか?」という高橋氏の問いに対して、誰からも答えが出なかったが、理由は「うさぎは傷ついても鳴かないから」だそうだ。2013年の3月、EUでは化粧品のための動物実験が完全に禁止された。この動物実験反対のキャンペーンはうさぎの着ぐるみを来たLUSHの職員がショップの前で檻の中に入るというものだった。これを見た人々は今まで気にしてこなかった問題に直面し、署名をした人も多かったという。

他にはアメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジで行われたサメのヒレ(フカヒレ)を切り取ることに反対するフィニング・フリー・キャンペーンについて。

次に高橋氏は、服を着ないで黒いエプロンだけを身に付けた人々が並んでいる写真を示し、ネイキッド・プログラムについて紹介。エプロンには「なんで私が裸なのか聴いてみて」と書かれていた。このキャンペーンは、余計な商品のパッケージを排除し、必要のないゴミは出さないことを訴えるものだ。
どのキャンペーンを例にとっても、ただ声をあげるだけではなく、ビジュアル的にも大きなインパクトがあるのが印象的。LUSHではショップが表現の場であり、そこで店員が表現者として、社会に変革を訴えるメッセージを発信している。ショップの雰囲気からスタッフが笑顔で明るく、ポジティヴであることが伝わってくる。

■ピンクトライアングル・キャンペーン

「反同性愛法」に抗議するピンクトライアングルをシンボルにしたキャンペーンについて。ロシアでは2013年の6月、未成年者に対する同性愛プロパガンダを禁止する「反同性愛法」が成立した。この法律に明確な抗議を示すため、LUSHは「WE BELIEVE IN LOVE 愛でつながろう #signoflove」というキャンペーンを行った。LGBT (性的少数者)のシンボルであるピンクトライアングルを手に持ったり、顔や腕に書いたりして写真を撮り、その写真を#signofloveのハッシュタグとともにFacebookやTwitterなどに投稿する。このキャンペーンはロシアがG20に出席していた昨年(2013年)の9月に初めて行われ、初日だけで3000件の#signofloveの写真が投稿された。「1日にこれだけの反響があるならば、これは真剣に取り組むべきでテーマであるに違いない」と、その時、高橋氏は考えたそうだ。

次に、高橋氏は色分けされたマップを見せながら、世界の国々でLGBTがどのような状況に置かれているかについて説明をした。世界には同性愛を違法とする国が約80カ国あり、中には同性愛者を死刑にする国もある。そんな中で、このマップで日本はロシアと同じ色で示されている。日本では死刑の対象となったり、違法とされる訳ではないが、LGBTの権利が確立されているとは言いにくいということである。
このキャンペーンは、今年の1月27日から2月14日に再度行われた。ソチ・オリンピック開催直前からバレンタインデーまでの期間ということで、性別によって制限されない愛を訴えるべく多くの人たちが写真を投稿し、世界で700万人が参加したと言う。LUSHはこのキャンペーンの集大成として、2月14日のバレンタインデーにピンクに照らされた東京タワーのふもとでピンクトライアングルの人文字を作るイベントの開催を予定していたが、関東を襲った大雪のために中止となった。しかし、「このキャンペーンで集まった写真はちゃんとロシア大使館に提出しました」と、高橋氏はにこやかに述べた。

■LGBTにフレンドリーであるために

ある会社から「LGBTにフレンドリーな企業を作るためにはどうしたらいいのか」という質問を受けた時、「言葉で説明するのは難しかった。なぜなら、LGBTフレンドリーな企業を作るための決まったルールはないと思うから」と高橋氏は語る。ジェンダーなどのカテゴリーによって人を差別しないことは、職場のカルチャーのようなもの。LUSHのスタッフの中にはLGBTの当事者の人も多くいる。人を性別で決めつけることなく、その人はその人…として考える。それは感覚的なことなので、どうやって伝えるかは難しいと高橋氏は話す。

無意識の思い込みによって安易な決めつけを行ってしまうのはどんな場面か。高橋氏が語った例は次の通り。例えば、男性客が口紅を探していた。店員はそれを女性ヘのプレゼントだと考えて、「女性の方にはこの色が人気です」と言ってしまう。しかしそれは、その男性自身のための物かもしれないし、他の男性へのプレゼントであるかもしれない。この話を聞いて、私たちは無意識のうちに、性別に対するステレオタイプを他人に押し付けている可能性があるということを改めて認識させられた。

(続く)