2014/04/24 12:00

第1回 LGBTってなんだろう?
レクチャーとディスカッション Vol.1

LUSHジャパン、チャリティ&エシカル・キャンペーン・マネージャーの高橋麻帆さん Ⓒ Arisa Ishikawa

LUSHジャパンの高橋麻帆さんをお迎えして

by 書き起こし/文責:村上諒子(むらかみ・りょうこ)、藤牧望(ふじまき・のぞみ)、中村聡子(なかむら・さとこ)

 2014年3月29日、青山学院大学青山キャンパスにおいて、LUSHジャパンのチャリティ&エシカル・キャンペーン・マネージャーである高橋麻帆氏をお招きして、青学BBラボの記念すべき第1回勉強会が開催されました。今回の勉強会は『LGBTってなんだろう? レクチャーとディスカッション Vol.1』と題し、英国に本社のある化粧品メーカーLUSHがこれまで行ってきた様々なキャンペーンについてご紹介頂き、中でもLGBTイシューをフォーカスして考える場となりました。
 勉強会にはBBラボのメンバー、一般の学生、岩渕潤子氏をはじめラボ協力教員の方々、さらに、NYから来日中だったジャーナリストの北丸雄二氏にも参加して頂き、多くの新しい気づきと活発なディスカッションが行われました。その模様を3回にわたってお伝えします。

■BBラボと勉強会について

 青学BB(Beyond Borders)ラボとは、青山学院大学総合文化政策学部のラボ・アトリエ実習というカリキュラム内で行われているプロジェクトの1つである。2020年オリンピックの東京開催を視野に、日本が他の先進国から大きな遅れをとっているとされるLGBT市場に向けての効果的なマーケティングを考えることを主なテーマとし、女性や子供、外国人、LGBTを含む東京・日本において、様々な価値観を認め合い、すべての人たちが居心地良く共に暮らし、働くことのできる「多様性豊かな社会」とはどんなものかについて考え、活動している。

 今回の勉強会は、青学BBラボが月/1回程度で開催する、LGBTについて考えるレクチャーとディスカッションの記念すべき第一回として行われた。ゲストスピーカーとして「フレッシュ・ハンドメイド・コスメブランド」LUSHジャパンの高橋麻帆氏を迎え、LUSHがこれまで行ってきた動物実験やロシアの反同性愛法に抗議したキャンペーンなどについてレクチャーして頂き、LGBTとは何か、今自分たちが何をすべきかについて考えた。

LUSHは「地球、人、動物、すべてのいのちをもっともっとハッピーに」をコンセプトとして掲げる企業で、コスメ・プロダクトを販売するのみでなく、ビジネスを通じて自然環境保護や動物の権利擁護、人権擁護・支援のための活動に取り組んでいる。また、社会のために自分たちが直接できない活動を行っている団体を支援するチャリティ・助成活動も行っている。
今回お越しいただいた高橋麻帆氏は、LUSHジャパンのチャリティ&エシカル・キャンペーン担当者だ。以前はNPOの団体で活動しており、その時は支援される側の立場だった。しかし、せっかく社会のためになる活動をしているにもかかわらず、日本のNPOは他国の団体に比べてお互いのつながりが弱く、力を出しきれずにいるのが「もったいない」と感じていた。そんな時にLUSHのチャリティ支援を知り、日本での社会活動をより影響力のあるものにしたいとLUSHジャパンに入社し、現在は様々な活動と積極的に取り組んでいる。

なぜLUSHはこれらの活動に取り組むのか。ここから、高橋氏によるレクチャーの内容を紹介する。

■開発から製造まで、すべて自分たちで

LUSHは商品の開発から製造まで、全てのプロセスを他の業者を入れず、自社だけで行っている。すべての工程を自分たちの目で見て、確認できるからこそ、そこに児童労働や動物実験がないことを確認できる…と、高橋氏。「地球、人、動物すべてのいのちをもっともっとハッピーに」というコンセプトの通り、LUSHにはビジネスでお世話になっているすべてのものに負荷がかかってはいけないという考えがある。そのために商品の開発、製造の過程でかかる負担を最小限に減らす取り組みをしているのだという。

■自然環境保護への取り組み

LUSHにはリサイクルに取り組む研究チームがあり、廃棄物の99.7%がリサイクルされている。残りの0.3%が何かというと、工場で出る従業員が吸った煙草の吸殻などだそうだ。また、二酸化炭素の排出を抑えるため、原料の調達は飛行機ではなく、95%以上船便で行っている。そしてLUSHにはもうひとつのこだわりがある。それは、商品が固形であること。シャンプーが液体ではなく、石けんのように固形である「シャンプー・バー」であることで、製造工程における水の量を1年に42万トン節約することができるという。固形であればボトルに入れる必要もなく、プラスチックのゴミも削減することができる。

■エシカル・バイイング

LUSHは原材料の調達をダイレクト・バイイング(直接購入)という方法で行っている。ダイレクト・バイイングとは、LUSHのバイヤーが原材料の生産者に実際に会って、直接買い付けを行うことだ。バイヤーは原材料が高品質で安全であることを確認するだけでなく、生産者と面会して、従業員の職場環境や労働条件が適正であるかどうかの確認をする。製造に関わる人たちすべてがハッピーになる取り組みとして、生産者コミュニティの支援や関係づくりを目ざしている。

■チャリティ活動、助成金、LUSH PRIZE

LUSHは社会のために活動する団体のために助成金を出したり、様々なチャリティ活動を行っている。LUSHが支援するのは活動資金の予算が3500万円以下の小さな団体だ。資金が集まりやすい大規模な組織ではなく、草の根団体を支援することがLUSHのポリシーだという。また、化粧品の動物実験廃止を目指した活動をしている個人や団体を顕彰するために「LUSH PRIZE(ラッシュプライズ)」を創設し、その活動を支援している。

(続く)