2014/03/01 13:01

岩渕潤子×村上憲郎×津田大介×玉置泰紀 『ヴァティカンの正体』刊行記念トークライブ速報

Photo: 豪華なゲストを迎えてのトークイベント Ⓒ Konomi Kageyama

岩渕潤子×村上憲郎×津田大介×玉置泰紀 『ヴァティカンの正体』刊行記念トークライブ速報

by 菱沼聖哉(ひしぬま・せいや)

 2月26日水曜日、下北沢の本屋「B&B」にて岩渕潤子著『ヴァティカンの正体−−−究極のグローバル・メディア』の発刊記念イベントが行われた。ゲストスピーカーとして、元Google日本法人代表取締役の村上憲郎氏、ジャーナリストの津田大介氏、モデーレーターに『関西ウォーカー』編集長の玉置泰紀氏、そして著者である岩渕潤子氏を迎えてのトークイベントであった。

 今回の会場となった「B&B」は、店名「Book&Beer」の名の通り、書店であるにも関わらず店内でビールを注文することができ、ビールを片手に席に腰かけて店内の好きな本を堪能できるという至福のひとときを提供してくれる場所である。イベント当日も、もちろん店内でビールが振舞われ、会場に来ていた多くの人々がその味を堪能していた。落ち着きのある店内で和やかな雰囲気のもと、定刻通りにトーク・イベントが始まった。

 『ヴァティカンの正体』のテーマとなっている、メディアとしての「ヴァティカン」の話と関連して、「言語により異なる宗教性」や「「Apple」におけるジョブズ氏のカリスマ性」、「東方正教会のアイコン主義」など、多岐に渡るアカデミックな内容が議論百出された。そして話は、学生運動にまで及び、村上氏がローマン・カトリック圏の運動と戦後日本において盛り上がりを見せた学生運動を比較しながら組織論を熱く語った。その後、本書の核となる「ヴァティカンの正体」について津田氏が「本書ではヴァティカンの正体はサステナビリティとイノベーションであると思いました。」と述べると、「では日本がヴァティカン化するとしたら何がコアとなるか?」という問いに対して、岩渕氏が「個人に対する投資でしょうね。日本は組織に対しては投資をするけど、個人の才能には投資しない傾向があるように思います。」と答えた。

そしてトーク・ディスカッションから質問タイムへと移り、会場の聴衆から「日本における宗教感による「公共性」の概念とは?」、「敗戦から学んだ日本教育の実態とは?」など鋭い質問がぶつけられた。それに対して各人が持論を用いて説明しているうちに、あっという間にイベント終了時間となり会場全員の拍手喝采のうちにトーク・イベントは幕を閉じた。

 岩渕潤子著『ヴァティカンの正体−−−究極のグローバル・メディア』の出版記念イベントとしては2回目であったが、前回銀座MANAHAでパンケーキを食べながら行われたイベントとは全く違う雰囲気で、書物に囲まれながらビールを片手に、賢人達の議論を楽しむ、さながら「オトナの勉強会」であった。

PROFILE

菱沼聖哉 (ひしぬま・せいや)

青山学院大学 総合文化政策学部2年

多種多様な価値観が混在する現代において、その価値観を多くの人々と共有するための新たな場が求められています。日本におけるLGBTマーケティングの可能性を追究し、新たな市場を開拓すること、そして、これまでの「解放運動」型の活動とは異なるアプローチを通じてLGBTへの意識改革を促すことは、今後の日本の経済的発展にもつながっていくのではないでしょうか。既存の狭くカテゴライズされた枠組を越えて、新たなる挑戦を青山から発信していきたいと思っています。