2014/02/01 09:35

第6回 目に見えないものをデザインする
—日本発の「香」で世界を目ざす 株式会社 DEICA JAPAN

Photo: 花から香りが広がるDEICAのディフューザーは人気商品 ⒸDEICA

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第6回 DEICAのこれから

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

 華やかなファッションの世界から、目に見えない「香」のデザインにフィールドを変え、株式会社 DEICA JAPANを立ち上げた西田代表。キャンドルに始まり、その後、ナチュラルな香りを活かしたハンドクリーム、ボディローション、バス・オイルなど、様々なスキンケア用品、ホーム用品のディフューザーや台所洗剤まで、幅広いプロダクトを提供する企業へと自社を成長させた。近年は社会貢献活動に積極的に参加したり、健康やライフスタイルそのもののデザインを手がけ始めているが、今後はどのような展開を目ざしていくのだろうか。

岩渕:DEICAのプロダクトには「漢香」をテーマにしたキャンドルのように、日本や東洋のイメージを強く意識したものがありますね。西洋的なアロマ・プロダクトとは異なる、このようなテイストのプロダクトは、逆に欧米では人気を集めるのではないでしょうか? 海外展開を含め、今後、DEICAはどういった方向でビジネスを考えておられるのでしょうか?

西田:基本的には、香りをテーマにライフスタイルを提案していきたいと考えています。例えば、私たちが普段あたり前に身を置いているオフィスやラウンジ、ホテルなどにもディフューザーやキャンドルを置き、より多くの人に「香り」をもっと身近な存在にしてもらえたらいいなと思うのです。日本でもようやくフレグランスの文化に馴染みが出てきたように思いますが、もっと多くの人に経験して頂けたら嬉しいです。

キャンドルについては、日本だと「クリスマス」みたいな、特別な時に使うものといったイメージが未だに強いようですが、欧米の家庭のように、夫婦の記念日やお客様をお招きしたディナーだとか、おもてなしの演出として、もっと使われるようになればいいなと思います。仕事から帰った後、気分転換してリラックスするためにも、アロマ・キャンドルを効果的に使うといった習慣も、ごく普通に受け入れられるようになると良いですね。

このところ、DEICAオリジナルの新製品開発だけでなく、いろんな業態の方たちから香りを使った商品開発やブランディング、空間そのもののプロデュースの仕事のご相談を頂くことが増えています。ジムやスパ、ヨガ・スタジオなどは、香りのデザインを加えることで、付加価値が高まるのではないでしょうか。体にも環境にもやさしい・・・そんな商品開発、プロデュースの仕事ができればいいなと思っています。そして、仕事を通じていろんな企業とアーティストさんを香りでつなげていけたらいいですね。

DEICAを立ち上げた当時、「香り」をテーマにした日本企業は他に無かったのですが、ここ数年で随分増えてきました。DEICAは先駆者としての自負がありますから、他と同じではない、新しいコンセプトを提案して、ゆくゆくは世界なんて(笑)・・・とも思っています。

友人経由でたまたまDEICAの製品を見かけた海外の方から「ぜひ」と言っていただいたこともあるのですが、今までは円高が続いていたので、日本国内の価格帯だと、海外に持って行った場合、相当に高めの価格設定をしなくてはなりませんでした。でも、このところ円安傾向が続いていますし、改めて、海外進出については考えてみる良いタイミングかも知れませんね。

岩渕:LAやNY、パリなどのセレブ向けプロダクトであれば、価格は問題ないと思います。ぜひ、東洋的な香りをモチーフにした製品で、日本から世界の富裕層マーケットを制覇して頂ければと思います。

(了)

PROFILE

西田卓矢(にしだ・たくや)

株式会社 DEICA JAPAN代表取締役/クリエイティブ・ディレクター

アパレル業界でパタンナーとしてスタート、その後、独自のデザインを追求するようになり、数多くのアーティストやCM衣装を手掛けてきた。デビュー以来、2001年まで浜崎あゆみの衣装を専属デザイナーとして担当。その後、自身のブランドSNARLEXTRAを立ち上げ、ストリート・クチュールをキーワードに、リメイク・デニムなどの斬新なデザインが注目された。2001年のレコード大賞での、記憶に残るhitomiの衣装は西田のデザイン。2005年、LAに拠点を移し、東京とLAからTAKUYA NISHIDAブランドを発信。2007年、安室奈美恵の復活ともいえる「Hide & Seek」の衣装を担当。中島哲也監督「パコと魔法の絵本」の衣装なども手掛けた。

2006年、趣味で始めたキャンドルが銀座エルメスのショーウィンドーに飾られ、それを機にラグジュアリー・キャンドルのブランドとしてDEICAをスタート。ホテル・ニューオオタニ、シャングリラなどの一流ホテル、シャネル、ピアジェ、マセラッティなどのヨーロッパの老舗ブランド、浜崎あゆみ、安室奈美恵、EXILEなどのアーティスト、バーニーズ・ニューヨーク、ANA、伊勢丹、梅田阪急などにも商品を提供。2011年からは新たにDEICAビューティのラインナップをスタート。2013年、ヴォーグ・ビューティアワードに選ばれた。

2014年はワインのラベル・デザインやジムなど、ライフ・スタイル全般のプロデュースに仕事を広げ、世界をフィールドに今後のさらなる飛躍が期待されている。