第3回　中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 張凌蔺さん

Photo:張さんが企画した北海道の旅行商品（外灘画報サイトより） Ⓒ 張凌蔺

深水：張さんは現在PR会社と旅行会社の経営者としてご活躍中ですね。いつからこのようなお仕事をされているのですか？

張：2009年からですね。ビルマネジメント会社、人材研修会社を経て、独立当初は、トラベルライターとして、微博（中国版Twitter）やブログ、人気ライフスタイル・マガジン外灘画報等で日本の観光地の情報を中国人に向けて発信してきました。
2011年の東日本大震災の時も、現地の様子を伝えるためにすぐに東北に入り、日本の現状を伝えてきました。また、震災以降は風評被害で観光客が激減している自治体からの招致で日本の安全性をPRするために訪問しました。現在では以前に比べてビジネスの幅が広がっています。

深水：張さんはとても日本語がお上手ですし、かなりの日本好き。もともと日本に興味があったのですか？

張：そうですね、日本のアニメやドラマが大好きで、それを見ながら日本語を覚えました。元オタクです（笑）。今興味を持っている日本のコンテンツは、高級旅館ですが。

深水：日本の高級旅館ですか。どこに魅力に感じるのでしょうか？

張：日本の旅館には日本のおもてなしの全てが凝縮されていると思います。温泉や設備、建物のハードはもちろん、日本流のおもてなしや料理も素晴らしい！
ただ、もちろんすべての旅館がパーフェクトというわけではなく、特に外国人の受け入れ体制には、改善のポイントはたくさんあると思います。

Photo:張さんのお気に入りの旅館 Ⓒ 小樽 藏群

深水：改善のポイントとは、例えばどのようなことですか？

張さん：原則として、日本はとても過ごしやすく、表面上のトラブルは少ないように思います。けれども、日本の旅館は良くも悪くもきちんとしているので、規則外のことが出来ないことが多いのです。例えば、よくトラブルになるのは、空港から旅館までの送迎についてです。「うちでそのようなサービスはしていません」と言われると、「規則なのはわかるけど、タクシーの手配でもしてくれてもいいんじゃない？　対応が丁寧なだけに残念！」というように感じます。特に中国人の富裕層は「自分が特別に扱われている」ということに価値を感じる人が多いので、そこをくすぐるサービスは絶対に必要だと思いますね。

深水：確かにそうですね。ただ笑顔でいれば「おもてなし」というものでもないですからね。

張：はい。そのような事情もあり、昨年中国人パートナー3名と日本人パートナー1名、そして私の計5名で、日本の高級旅館・ブティックホテル予約サービスやVIP向けのオーダーメイド旅行商品を企画販売するZEEWALKという会社始めました。この会社で取り扱っている商品（旅館・ブティックホテル）は、実際、私も足を運んでいるので、旅館のスペックや雰囲気だけでなく、ご主人や女将さんの人柄なども理解しています。他社と比べ、クライアントのニーズに合わせた提案ができるのが強みです。

それに一般の旅行会社さんですと自社で商品を作っても、雑誌、新聞などに広告費を払って宣伝することが必要です。しかし、私はもともとブロガーですから、自社で開発した商品を私自身が情報発信者として色々なメディアに記事を掲載することが可能です。

深水：張さんならではで提供できる素晴らしいサービスですね。これからも日中友好の活動を期待しています！本日はありがとうございました！

脚注：80后・90后：1980年代、1990年代生まれのこと。