2013/11/20 20:47

第1回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 中井登志恵さん

Photo: 国際色豊かなTWMのメンバー。代表のアフォンソ・ビエラは
在ベトナム・ポルトガル領事館の名誉領事も務めている。 ⒸTotal Wealth ManagementCo., Ltd. All rights reserved.

第1回 中国は世界への扉
上海で元気に働くビジネスウーマン: 中井登志恵さん

by 深水 エリナ(ふかみ・えりな)/ 析得思(上海)商務諮詢有限公司 総経理

アグロスパシア株式会社は、「私たちは社会にイノベーションを起こすエンジンだ!」を合言葉に、従来の「ベンチャー」の概念では定義の難しいニッチなテーマ、次世紀のライフ・スタイル研究、地球以外の惑星で生きてゆくために宇宙で必要となる技術…などを取り上げ、そこに関連する人と情報のアグリゲーションを目ざしています。

深水エリナさんは、自身も上海でマーケティング&セールスコンサルティングを専門とする会社を立ち上げて活躍中ですが、今回、『AGROSPACIA』では深水さんの協力を得て、上海を中心にアジアでダイナミックにビジネスを展開する人たちをご紹介するインタヴューのシリーズをスタートします。

第一回めは、Total Wealth ManagementCo., Ltd.のFinancial planner & Partner、中井登志恵さんが登場。中井さんは北海道出身で、投資顧問会社のシニア・アドバイザーとして、上海、ベトナムを拠点に国際金融商品、保険商品に関するコンサルティング業務の豊富な経験を持ち、2007年にTotal Wealth Management社にPartner(共同経営者)として参画。日本国籍のクライアントはもとより、アジア国籍の非居住者を対象にして、資産分散の重要性と金融リテラシーについての啓発セミナーや記事掲載を手がけています。中国・上海在住8年。これからのさらなる活躍が期待される一人です。

Photo:上海のThe band(外灘)Ⓒ 中井 登志恵

深水:中井さんは、現在IFA(Independent Financial Adviser)に所属し、上海、ベトナムを中心に活躍されてらっしゃいますね。「金融」と聞くとすごくおカタイお仕事とイメージしがちですが、実際のところはどうなんでしょうか?

中井:最近日本でも話題になっているオフショア地域の金融商品などの購入を検討されている方や、海外の資産運用についてアドバイスを必要としている方に、資産運用のお悩みをお伺いし、商品選定から実行、フォローまでをサポートするような仕事をしています。当然クライアントの資産管理に日々深く関わりますので仕事の重圧は大きいですよ。でもリーマン-ショックの荒波を耐えて、大きな収穫を得たクライアントの方に感謝の言葉をいただいた時などは、本当に嬉しかったですね。
今私が所属している Total Wealth Management では、国際一流プロバイダのサービスも扱っており、日本人はもちろん、欧米人、アジア人と幅広い国のお客様の資産運用をお手伝いしています。

深水:と、こんなに金融業界で活躍されている中井さんですが、実は、全くの異業種からの転職なんですよね。

中井:はい(笑)。もともとは大手外資系ホテルのホテルウーマンでした。当時中国での展開を前に、米国系の某ホテルチェーンの総支配人からお誘いを受けたのが、上海に来たご縁のはじまりです。リージェント上海(現:The Longgemont Shanghai)の開業準備室も経験しています。そこから早8年。あっという間だな~という印象です。当たり前ですが、ホテルの仕事では「ホスピタリティ精神」が重要なのですが、まだまだ発展途上の中国ではこういった精神を運営に反映させることが容易ではなく、限界を感じていた時に、IFAの仕事と出会いました。

深水:ホスピタリティからマネーの世界へ…違和感は感じませんでしたか?

Photo:フランス統治時代に建てられたサイゴン大聖堂Ⓒ 中井 登志恵

中井:違和感は全くありませんね。ホテルのホスピタリティもマネーの運用も、全く一緒。人間の前向きな欲望や幸せにダイレクトにつながっているからでしょうか。でも「お金」については、魔物でもありますので、我々金融アドバイザーとクライアントの関係は、人間としての底力がお互いに試される、真剣で容赦ない関係だと感じています。そうして本当の信頼関係ができていると、先ほど申し上げたようなリーマンショックですらも、何も怖くなくなるんです(笑)。そうして長い時間をかけて関係を築き上げてきた多くのクライアントが私のかけがえのない宝物になっています。 

深水:金融の仕事をする前も外資に勤めていらっしゃいましたよね。もともと海外志向だったのですか?

中井:そんなこともないですよ。30代はずっと日本で仕事をしていましたし、当時は海外生活をあまり意識することはありませんでした。ただ、日本人の、特に女性に伝えたいことは、「ぜひ海外に一度出てみること」です。

深水:私もそれはそう思います。私自身、日本で働いていたときは、仕事自体はおもしろかったのですが、常に何かの閉塞感を感じていました。

中井:日本にいると、いつも年齢や性別、自分の能力や環境、それに日本独自のルールという制限に負われている気がします。日本人女性は一度海外に出て、日本の環境やいつも周りにいる人だけが世界の全てでない!ということを感じるだけでも、価値があるんじゃないかなと思います。

ちなみに…私は人生は「藁しべ長者」のように生きていくのがいいと思っています。いきなり大きな目標をたててしまうと「自分ってなんてできないのかしら…」って惨めに感じてしまうこともありますけど、今自分ができることを確実にこなし、それをちょっとずつ広げたり、価値をつけていく。そうすればきっといつか道が開ける!と気長に捉えると、人生そんなに難しくないんじゃないかな~と思います。そもそも、人生どんなことが待ち受けているかわかりません。だからこそ、ココロの体力をつけてくらいあとが描く夢の一端でも担わせていただけるよう、日々(更年期障害にもめげずに)精進あるのみ!です。

深水:本日はありがとうございました!

PROFILE

中井 登志恵
Total Wealth Management
Financial planner & Partner
中国・上海在住8年。投資顧問会社のシニアアドバイザーとして、上海、ベトナムを拠点に国際金融商品、保険商品に関するコンサルティング業務に携わる。2007年にTotal Wealth Management 社にPartnerとして参画。日本国籍の顧客はもとより、アジア国籍の非居住者を対象に、資金の国際分散の重要性と金融リテラシーに関する啓発セミナーや記事掲載を手がける。北海道出身。
http://www.t-wm.com/

深水 エリナ(Erina Fukami)
析得思(上海)商務諮詢有限公司
総経理
アパマンショップホールディングス、中国・インドでマーケティングリサーチ&コンサルティングを行うインフォブリッジを経て、2013年アイザックマーケティンググループの析得思(上海)商務諮詢有限公司の総経理に。
中国市場で事業を行う日系企業に対し、データ分析(統計解析やデータマイニング、テキストマイニングなど)やデータを軸としたシステム開発、ビジネスインテリジェンスサービスを提供している。
2008年より上海在住。
http://cds-cn.com/