2013/10/07 12:00

第11回「140字、1億人の”つぶやき”革命」から間もなく4年…
リアルへの回帰とソーシャルメディアのこれから

Photo: スタンダードブックストアの店内では、自分自身が情報を探す検索エンジンとなる ⒸJunko Iwabuchi

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第11回 新しい表現のプラットフォームになりつつあるSNS

玉置:アメリカの場合は、ブルース・スプリングスティーンとか、絶大な影響力のある大物ミュージシャンやハリウッドスターが、選挙になると自分の支持する候補者をSNSなどで明言するので、どの有名人がどの候補を支持するかは大きいですが、日本の場合は、メディアも含めて支持する政党名や候補者を明確に言わないですよね。その辺がネックになっていますが、いずれグローバルスタンダードに従って、その辺りの規制もできなくなっていくと思っています。

今でも、例えば、「くるり」の岸田さんなどは自分の主義主張をガンガンツイートしています。そういう人は増えてくると思います。そうなってくるとネット選挙の破壊力は物凄い勢いで増していくと思います。まだ、水面上には上がっていませんが。

岩渕:個人商店方式というか、個人の価値や影響力がますます高まってくると思います。資質や社会的立場が似た人のSNS上での影響力の増し方というのは似ていて、見ていると面白い。ある程度の数の著作物のある大学の先生などは、年間平均で2500〜3000くらい、じわじわとフォロワーが増えていく。フォロワーの増え方が、当人のリアル社会での影響力に比例するようで、とてもリニアなメディアだなと感じました。先に始めている人との間はなかなか縮まらなくて、日々面倒も見ないといけないのは、なかなか人間的だと思います。

一方で、芸能人とか政治家で、公式アカウントを示す青チェックがついて、回りの人たちが当人を意識した途端、どんどんフォロワーが増えていく。この違いも面白い。

玉置:ダウンタウンの松本人志さんのアカウントは、開設して1時間経過するごとに万単位でフォロワーが増えていったという感じでしたよね。

岩渕:宇多田ヒカルさんやハリウッドスターも、だいたいそんな感じ。ツイート数は少ないけれども何十万人ものフォロワーがいる。そういう人たちと、リアル社会である程度自分が影響を及ぼすコミュニティを持っている人たちとは、twitterの使い方や影響力の及ぼし方は違いますよね。

でも、ある程度影響力のある大学の先生たちが複数人で、TL上で議論をした時の盛り上がり方とか、そういう議論がtogetterに上がった時の質の高さ、内容の濃さとかは大変興味深いと思います。「キュレーション」とも言われていますが、編集能力の高い人が誰かの頭のなかにあるコンテンツを視覚化して、ネット上で見せることができるのは面白いですね。

玉置:twitterが表現の新しいプラットフォームであるということは間違いない事実ですね。原稿用紙に鉛筆で書いていくのと同じで、それがワープロに置き換わるなど変化していったように、今SNSは表現のプラットフォームになってきています。

岩渕:角川書店さんはtwitter小説のキャンペーンとかもやっていらっしゃるじゃないですか。あれは、わざわざ「キャンペーン」だと知らせないほうが面白いのではないかなと思って見ていました。「twitter小説」と募集する際にカテゴライズせず、TL上にあるものを第三者的に勝手に編集するほうが面白いのではないかなと。書きたい人は、短歌や俳句のように、定型で枠がある方がやりやすいのかなあとは思いますが、そうではなく、このテーマで7ツイートを編集して小説にしてみましたとか…書き手ではなく、編集する側の視点だけでつなぎ合わせた作品も見てみたい気がします

玉置:SNSをやっているとついつい五・七・五調でツイートしたりしたくなりますね。ポイントポイントで川柳だか俳句だかわからないものを書きたくなってしまう。

岩渕:私の場合は、個人的なバックグラウンドのせいもあって、少ない文字数でどれだけ詰め込めるかという訓練を繰り返してきましたので、140字でどこまで伝えられるかと闘志をかき立てられます。140字以内で如何に誤解されないようにするかということもよく考えますね。

玉置:津田さんなどは140字で発信することがトレーニングになるっておっしゃっている。或いはその人を評価するときのひとつの材料になると思いますね。余裕が無いのでそこまでできていませんが、人事などでもそこまで追いかけられれば、評価に利用することも可能ですよね。

岩渕:日本では就職に不利になるとか、不採用の原因になるとか、ネガティブな話題ばかり出ているように思いますが、学生がクリエイティブな目的でtwitterを使うとか、もっとそういう話があっても良いように思います。

玉置:僕などはオープンに発信しているので、twitter上で僕とやり取りした人が面接に来たら、印象はかなり良いと思うのですけれどもね。その人の能力もある程度わかりますから。

岩渕:私自身もtwitterを通じて興味を持って、最終的に仕事につながった人はとても多いです。

玉置:人間関係って、SNS登場前と後ではとても変わったと思います。

岩渕:海外在住の日本人の方たちがtwitter上で顕在化されたことはすごく面白い。

玉置:昔の人間関係がSNSによって突然発掘されたり、復活したりっていうのもありますよね。

岩渕:かつて仕事をしていた方が突然連絡をくれるということもよくあります。

PROFILE

玉置泰紀(たまき・やすのり)
関西ウォーカー編集長

1961年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学文化学科哲学及び倫理学専攻卒業後、
産経新聞大阪本社に入社。記者として神戸支局、社会部で大阪府警本部捜査1課などを担当。その後、編集者に転じ、福武書店(現ベネッセ)で月刊女性誌カルディエ、角川書店でシュシュ、九州ウォーカー、東海ウォーカー、関西ウォーカーを担当した。長崎市観光専門委員、愛・地球博の食の専門委員、経団連の観光専門委員などを務めた。