2013/10/02 12:00

第9回「140字、1億人の”つぶやき”革命」から間もなく4年…
リアルへの回帰とソーシャルメディアのこれから

Photo: しばし本を忘れて雑貨に埋もれることにもなるスタンダードブックストア ⒸJunko Iwabuchi

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第9回 SNSからリアルな人とのつながりも

玉置:椹木君も最近は後ろを見ないで突っ張っているので、会田誠展問題や大友良英さんの芸術選奨受賞についてなど、一切後ろに引かず発言をして、それにいろいろな人がからんでいっている流れがtogetterなどでまとめられて、それが大きな議論の場になっていますね。

岩渕:まとめられたtogetterを読んで、それじたいが面白いものもたくさんあるのですが、togetterを通じて人は何に興味を持つのかが見えてくるので、それをもとに企画を考えることもある。twitterがいろんな意味でネタの宝庫的な役割を果たしているのが面白い。

玉置:大林宣彦監督の『この空の花 長岡花火物語』という、地方で点々と公開していった映画を椹木君が大変な熱意をもってプッシュしていて、様々な形でツイートしたことが大きなムーブメントにつながりました。映画が広がるきっかけにもなりましたし、あれから大林宣彦監督とも一緒に活動したり、椹木君自身は動画配信には出演しないポリシーなんですけれども、フリーDommuneで『この空の花 長岡花火物語』ためだけに出演したんですね。僕の番組には出てくれないんですけれども……(笑) つまりtwitterではそういうことが可能だ、ということだと思うのですね。

岩渕:twitterは短時間で人を集めたり、動かしたり、人を束ねたりするにはとても役立つツールであり、メディアだなと感じています。去年の夏、日本に招聘した、チェロとビートボックスをやっているケヴィン・オルソラ君はtwitterとはどういうメディアかを理解する上で、とても面白い例でした。彼をネット上で発見してから実際に東京に招聘するというプロセスのすべてがとても興味深い一つのサイクルだったと思います。

まず、何の事前情報もない段階でYouTubeで彼がパフォーマンスしているヴィデオを観て「面白い」とツイートしたところ、それをRTした人の数がとても多かったので、「じゃあ、このコを日本に呼んでみようか?」とツイートしたわけですね。すると、呼べるものなら呼んで欲しいという反応がとても多かったため、当時、彼が在籍していたイェール大学の、twitterつながりの先生にご相談してみました。すると、オルソラ君が中国留学した際に推薦状を書いたのが、実は、彼だったという偶然があって、すぐにオルソラ君本人に直接コンタクトをとることが出来ました。

私たちは、YouTubeやtwitterで漠然とつながっている感覚を持っているわけですが、その漠然としたつながりの中で、実は、個人同士がリアルでつながっていたことがわかり、世界は思いのほか小さいという実感が得られてとてもおもしろかった。オルソラ君については、実際に招聘するまで、かれこれ一年以上に渡って時々呟いていたので、日本の一般社会ではまったく無名の新人ミュージシャンだったにもかかわらず、私のTL上ではみんなの人気者になっていたので、コンサートの日程が決まって募集を始めたら120席がほとんど一日で埋まってしまいました。番組としてニコ生で中継もしてもらったのですが、その日最高の視聴率を記録して、スポンサーのアメリカ大使館に大変喜ばれました。

玉置:それをいうと、岩渕さんとのお付き合いそのものがtwitterからなのですよね。最初は岩渕さんがどういう方なのか全く存じ上げなかったのですが、@tawarayasotatsuというアカウント名に親近感を抱いてやりとりするようになり、岩渕さんのシンポジウムに招待していただいた。他にもtwitterから仕事になったことはいろいろあります。

踊り場を超えて、次のフェーズに入ったtwitterの今後を考えると、まだまだ新しい使い方が考えられると思いますが、特に、選挙や民主主義のあり方を根幹から変えるようなことが起きてくるのではないかと……個人的には期待しています。

PROFILE

玉置泰紀(たまき・やすのり)
関西ウォーカー編集長

1961年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学文化学科哲学及び倫理学専攻卒業後、
産経新聞大阪本社に入社。記者として神戸支局、社会部で大阪府警本部捜査1課などを担当。その後、編集者に転じ、福武書店(現ベネッセ)で月刊女性誌カルディエ、角川書店でシュシュ、九州ウォーカー、東海ウォーカー、関西ウォーカーを担当した。長崎市観光専門委員、愛・地球博の食の専門委員、経団連の観光専門委員などを務めた。