2013/09/30 13:27

第8回「140字、1億人の”つぶやき”革命」から間もなく4年…
リアルへの回帰とソーシャルメディアのこれから

Photo: 情報の”キュレーション”とリアル店舗の商品ディスプレーは似ているかもしれない… ⒸJunko Iwabuchi

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第8回 3.11以後のtwitter

岩渕:私の個人的な経験から言うと、いわゆる「炎上」をしたことは無いのですが、twitterでは狙って発言したことより、思いがけない、ふとした呟きのほうがすさまじい回数でRT(リツイート)されるという現象があるように思います。物書きとしての訓練を受けた人は、新聞や雑誌上では不特定多数の読者に対して書いているという明確な意識があるので、twitter上でも同じような意識で、ある程度は抑制して呟いているような気がします。

玉置:話が何度も戻ってしまいますが、2010年の2月から『関西ウォーカー』でtwitterを始めた経緯についてお話したいと思います。その前の2009年の年末頃だったか、記憶が定かではありませんが、大学時代の友人4人と温泉に行ったところ、そのうちの1人が熱心にtwitterをやっていたんですね。私はまだその頃はアカウントを作成したぐらいだったんですけれども、彼は一晩中私に twitterをやるべきだと熱弁を振るったのです。私は冷ややかに答えていたのですが、別れた後、なぜかだんだん染みこんできて、やっぱりやるしかないと思い至りました。それがtwitterを始めた原因になります。

その4人のメンバーの中ではメールのやり取りを良くしていて、一つのテーマでメールの往復する数が何百になるようなこともあるのですが、SNSがいかに面白いかについて旅行の後もずっとやりとりをしていました。

その4人の中の一人が、実は、椹木野衣です。彼は今もFacebookはやらないし、Googleに対しても疑問を抱いている人間なのですが、メールでの議論の中でもSNSは問題があるのではないかとずっと書いていたわけです。その後、半年ぐらいのやりとりの後に彼はtwitterを始めたのですが、すぐにやめてしまいました。それが、3.11で大きな衝撃を受けて、彼は色々とアクションを起こしたのですが、そこから改めてtwitterを再開したわけです。そこから2年間猛烈にツイートしています。

彼は自分のツイートについて、どのようなものかという説明を常々しているのですが、主義主張や意見の是非は問わず、ひとつのメルクマールとなるものについてはリツイートしていく。或いはお気に入りに登録していくというメモ的な使い方もしています。彼のツイートは、彼の著書よりもっと私的でポエムのようなところもあってとても面白く、彼にとってtwitterは新しいメディアであり、今もその熱は冷めていないんですね。

椹木野衣のツイートのスタイルを見ていると、それはtwitterのひとつの可能性を示しているのではないかと思います。彼のタイムラインそのものがひとつの作品になっているようで……。

岩渕:その時に何に関心を持っていたのか振り返るツールとしてtwitterは有効で、twilogは役に立ちますよね。togetterで第三者がまとめをしてくれる場合、自分と違う視点から、他の人のコメントも含めて俯瞰することができるのは面白く、最近だと出版社の人から「この視点で執筆してみてはどうですか?」などといったオファーを受けることもあります。

PROFILE

玉置泰紀(たまき・やすのり)
関西ウォーカー編集長

1961年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学文化学科哲学及び倫理学専攻卒業後、
産経新聞大阪本社に入社。記者として神戸支局、社会部で大阪府警本部捜査1課などを担当。その後、編集者に転じ、福武書店(現ベネッセ)で月刊女性誌カルディエ、角川書店でシュシュ、九州ウォーカー、東海ウォーカー、関西ウォーカーを担当した。長崎市観光専門委員、愛・地球博の食の専門委員、経団連の観光専門委員などを務めた。