2013/09/25 12:00

第6回「140字、1億人の”つぶやき”革命」から間もなく4年…
リアルへの回帰とソーシャルメディアのこれから

Photo: 関西の情報発信拠点、スタンダードブックストアにはリアルなモノも沢山集められている ⒸJunko Iwabuchi

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第6回 濃くて深いコミュニティVs.間口の広い twitter

岩渕:twitterでは朝の連続テレビ小説だけではなく、アメリカの大統領選挙の時もそうでしたが、話題になっていることや自分が興味のあることをツイートしている人に対して、イラストなどの作品をさっと作ってレス(公開)するというのをよく見かけますね。mixiなど、クローズドなコミュニティより、twitterはユーザーのデモグラフィックが多様だと思うのですが、これは今までにはなかったことなのでしょうか。

玉置:メディアの人間からすると、クローズドのコミュニティというものには興味が持てなかった経緯があります。mixiのアカウントは作成したのですけれど……。濃くて深いコミュニティがあるのは知っていますが、コミュニティの増加速度はメンバーが限定されているので限られてしまう。twitterの場合はオープンなので、腕に自信のある人たちはみんなそこに参加してくるという感じがあるのかな?……と思います。
このハッシュタグがとても盛り上がり、ドラマ自体も尻上がりで視聴率が上がっていったため、結果として、とてもたくさんツイートされました。TVでドラマを観ながら思いっきりツイートするというのは、手前味噌かもしれませんが、あれが最初だったのではないでしょうか。

岩渕:罵倒するだけのツイートをする人や、鍵アカウントの人もいますが、twitterは議論をできるだけ見えるところでしようという意思があるユーザーが多いのかなという印象はありますね。

玉置:mixiはクローズドで、お互いのことがよくわかっているぶん罵倒などはないのかもしれません。Facebookはあまり拡散する力がなく、仲間うちのためのツールですね。LINEがとてもアクティブだとするなら、Facebookはとてもスタティックに見えます。

スタートした直後のtwitterは、メンバーが知り合いどうしということが多く、お互いを尊重しあってツイートしていたように思いますが、ユーザーが増えて様々な人が使うようになり、荒れることも起きてきて「炎上」がニュースとしても取り上げられ、芸人さんが叩かれてアカウントを削除することもありました。とはいえ、twitterやLINEのいいところは、その「荒れる」という問題を含めてなのだと思います。

岩渕:荒れる可能性があるのを、あえて事前に抑制することなどせず、そのまま運用しているというのは、民主的であるというか、大事なことですよね。

玉置:一時期twitterはしんどいのでFacebookに移行するという人が多かったのも事実です。しかし、明らかにそこを乗り越えて、twitter社側でも新たに色々なサービスをローンチしたので、今はひとつの踊り場を超えて回帰してきたという流れがあるように思います。

実際、研究者とメディアの会などを開催していて、そこにtwitter社の方やGoogleの方にも入っていただいていますが、そこでもそうかもしれないねという話をしています。ここで話すことではないかもしれませんが、twitterの中の方には他社から移ってきた方が結構いらっしゃって、彼らがイノベーティブなことに取り組もうと努力している。twitter社の元気な感じというのは、人の出入りがあってこそもたらされている側面もあるかもしれません。

PROFILE

玉置泰紀(たまき・やすのり)
関西ウォーカー編集長

1961年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学文化学科哲学及び倫理学専攻卒業後、
産経新聞大阪本社に入社。記者として神戸支局、社会部で大阪府警本部捜査1課などを担当。その後、編集者に転じ、福武書店(現ベネッセ)で月刊女性誌カルディエ、角川書店でシュシュ、九州ウォーカー、東海ウォーカー、関西ウォーカーを担当した。長崎市観光専門委員、愛・地球博の食の専門委員、経団連の観光専門委員などを務めた。