2013/09/11 12:00

第2回「140字、1億人の”つぶやき”革命」から間もなく4年…
リアルへの回帰とソーシャルメディアのこれから

Photo:Photo: スタンダードブックストアのカフェ。内装はアメリカの大学街風。 ⒸJunko Iwabuchi

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

第2回 SNSとUstream、そして、熱狂

岩渕: 2010年に行われた「関西twitterサミット」は、紙媒体の雑誌だった『関西ウォーカー』に重要な節目をもたらしたという意味で、twitterは玉置さんにとっても重要なポジションを占めているということでしょうか?

玉置: 今同じビルの下の階にtwitter社がいるのも、おかしなめぐり合わせなのですが……。2010年にTwitterが広まりつつある中で、お台場などでTwitterイベントが行われるようになり、その時に活躍したのがUstreamでした。 Ustreamは、まだ、日本語版が出ていない頃だったので、イベントをやる人たちはなんとかやりくりしていました。

その頃関西ではまだなかなかSNSが浸透しなくて、SNSに意識的な企業が両手で数えるぐらいしかなかったので、定期的に企業の担当者が集まってはいました。そんな状況の中、日本橋の人たちや『関西ウォーカー』が中心となって、関西でもイベントをやろうという話になって、SNSに興味がある企業が集まってイベントをやる事になったわけです。

当時既に、スタンダードブックストアはイベントをいくつか開催していたので、場所を探している時にここが良いのではないかということになって、スタンダードブックストアで「関西twitterサミット」を開催することになりました。数百人が集まるレベルの規模感でしたが、全員立っていたにもかかわらず満員のイベントになり、後のキー・プレイヤーとなる人たちがそこにみんな集まっていました。

Ustreamの配信はそらの氏が行い、ゲストには津田大介氏、末広部長が出席。その他には『関西ウォーカー』がブッキングした京都の錦市場の方々などにも集まってもらいました。錦市場はアカウントを持っているお店が多いですが、デジタルハリウッドの卒業制作かなにかで錦市場のツイートが一覧できるサイトがつくられていたので、特に発信力のあるお店の方たちを呼ぶことにしました。そのイベントだけではなく、その後の付き合いもできて、そこから始まった仕事も色々とあります。

特に初期の頃は熱狂的だったので、イベントを開くと毎回似たようなメンバーが集って情報交換をし、時にはリクルーティングを行うこともあって、『関西ウォーカー』の電子書籍サービス構築に協力してもらったこともありました。そのとっかかりになったのがスタンダードブックストアだったわけです。心斎橋にある半地下の店ですが、元々は高島屋の中に出して成功した書店の2代目社長が今の中川さんですが、彼がやりたいことをやりたいということで、 アメリカなどの書店の情報を元に、書店と雑貨とカフェが一緒の空間にあります。

grafの服部滋樹さん、ナガオカケンメイさんと3人で、1時間毎にゲストが変わるオールナイト討論会を開いて、京阪神エルマガジン社『Meets Regional』編集長の蔵 均さんや、アーティストの
名和晃平
さんたちをゲストに招いてリアルのイベントを開いていました。

半地下だったので、当初、実況しようとしても電波が悪くて中継が難しいということで、「関西twitterサミット」ではソフトバンクの孫さんにTwitter上でお願いしたところ、仮設ではあったけれど、すぐにアンテナを設置してくれました。ちなみに、この仮設アンテナは、イベント終了後にすぐ撤去されました(笑)

スタンダードブックストアの中川さんは、やはり、行かないと伝わらないということでクローズドの有料イベントをやっていましたね。 最近のイベントでも完全に開放するか、クローズドにするかのどちらかが多いです。例えば、最近一緒にやっている須田泰成(放送作家で『モンティ・パイソン』をやったり、さばの湯を福島で手がけている)さんも、 最初は動画配信をしていたけれど、最近ではクローズドなイベントをやることが多いです。

PROFILE

玉置泰紀(たまき・やすのり)
関西ウォーカー編集長

1961年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学文化学科哲学及び倫理学専攻卒業後、
産経新聞大阪本社に入社。記者として神戸支局、社会部で大阪府警本部捜査1課などを担当。その後、編集者に転じ、福武書店(現ベネッセ)で月刊女性誌カルディエ、角川書店でシュシュ、九州ウォーカー、東海ウォーカー、関西ウォーカーを担当した。長崎市観光専門委員、愛・地球博の食の専門委員、経団連の観光専門委員などを務めた。