2013/06/28 12:00

第3回 牧野二郎弁護士と上條由紀子弁理士による法律と知財に関する対話 ~アグロスパシア・キックオフ・セミナー~

Photo:牧野二郎弁護士と上條由紀子弁理士/金沢工業大学大学院准教授 @ Agrospacia

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

 2013年2月22日、アグロスパシア株式会社はIT関連の知識が豊富な法人法務の第一人者、牧野二郎弁護士(牧野総合法律事務所 弁護士法人)をお招きし、コメンテーターには金沢工業大学大学院知的創造システム専攻准教授/太陽国際特許事務所の上條由紀子弁理士をお迎えして、キックオフ・セミナー、「法律と知財: 起業する前にこれだけは知っておきたい!」を開催しました。

 本記事はセミナー内容を書き起こし、編集を加えたものです。

特許をめぐる制度について

 牧野:最近、特許は比較的早く取らせるような政策というのでしょうか、早期審査で、できるだけ早くという国策のように見えます。だから、皆さんが特許を取りやすくなってきたのかなと感じるのですが、この点はどうなのでしょう?

 上條:そうですね。国策としては。私は特許庁の人間ではないのですが、昔は審査請求をしてから2年ぐらいは平気で待たされたようです。でも、2年もたってしまうと、ITの世界ではもうその技術は陳腐化してしまい、特許になった時点で「もう、それ時代遅れですよ」というようなことになってしまいますよね。なので、今は早期審査制で、スーパー・ハイウェイという制度があります。

 例えば、日本で特許として認められたらアメリカでもその審査情報が即刻共有され、アメリカでも「この技術は日本では特許になったよ」という情報が活用されるように最近ではなっています。発展途上国で特許を取る時は、アメリカや日本で特許になっていれば、すぐそれを常用してくださるようにもなっています。

 「世界特許」という仕組みはまだないものの、各国独自に特許が生まれるわけですが、特許の審査システムにおいてはお互いの国で協力しあう体制もできています。グローバル、そして、ボーダーレスですね。日本国内だけでモノを売ってという、ガラパゴスじゃダメですよというお話になっています。日本だけではなく、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパなどでも特許をきちんと取っていかないことには、世界的なビジネスやインターネット上のビジネスはできませんので、早く、かつ、複数の国で知財を保護する仕組みが徐々に整備されつつあるわけです。