2013/06/24 12:00

第1回 牧野二郎弁護士と上條由紀子弁理士による法律と知財に関する対話 ~アグロスパシア・キックオフ・セミナー~

牧野弁護士と上條先生とのやり取り ~いかにして投資家に魅力を感じさせるか~

牧野:逆に言うと、立場を変えて、あなたが私に投資してくれる時にはどんな条件だったら投資してくれますか?と、尋ねてみるといいかもしれないですね。今、皆さんが100万ずつ持っていたとして。で、「牧野二郎なんですけど、こういうビジネスやりたいです」と言った時に、「お前に貸すか?」、「お前に投資するか?」ってなるかもしれません。

 その時に、どれだけ魅力を伝えられるか。逆に言えば、「100万円出してくれない?」って言われた時に、この100万円で宝クジ買うのか、それとも未来の夢に賭けるのか、あなたに投資した時に、ひょっとするとこの100万円は価値的には、もっと凄いものになるかもしれないっていう風に、正しく思わせるわけですよ。詐欺をするわけじゃないですよね(笑)

 嘘をつくのではなく、本当にそう思えるだけの技術とマネジメント。このビジネスをやることによるリターンとリスクをちゃんと説明できるかどうか。その説明を受けた時、皆さんは100万円を牧野に貸してやろうかな、あるいは投資してやろうかなと思うかどうかです。だから、そういうことを立場を変えてやってみると、自分の申し出が本当に魅力的なのかどうかっていうのが評価できるのかなと。

 そういう意味では、お金を出せるというのも一つの情熱だし、勇気を持って当たらなければならない。しかし常に出してもらえるとは限らない。むしろ、この時期ですとちょっと不況で、まだ上昇気流が今一つ弱いですが、今後上昇してくるでしょうから、そしたら可能性はもっともっと大きくなるのではないかと思いますね。

上條:先生のおっしゃる通りだと思います。ビジネスやる時に相手の立場に立ってものを考えられるかどうかは重要なポイントだと思います。投資家の立場で考えるといっても、自分はなかなか投資家の立場になるのは難しいと思うのですが、自分に出資していただく時は、まず相手の立場に立って考えて、それから投資してもらわないといけませんね。

 ウォーム・ハートとクール・ヘッドとよく言いますけれども、もちろん情熱や勇気、やる気は必要だけど、事業計画をお見せするとか、資金計画、人材の雇用計画など、具体的なプランをきちんと示して、何年目にどうなるという、中長期、短期の計画をお見せしていくということが、結局はその、情熱があるかどうかの根拠になるではないかと思います。

PROFILE

牧野 二郎 弁護士
中央大学法学部卒業、1983年に弁護士登録。
1996年よりインターネット上で法律相談開始。同年インターネット弁護士協議会設立し同代表に就任。2005年より中央大学法科大学院講師。2006年より内閣官房情報セキュリティセンター企業・個人評価指標専門委員会委員。2008年より情報保全教育に関する調査委員会委員(内閣官房)。現在 財団法人インターネット協会評議委員、電子署名電子認証シンポジウムタスクフォース代表、電子署名・認証利用パートナーシップ運営委員、龍谷大学客員教授、日本内部統制研究学会幹事、東京大学大学院情報学環・非常勤講師、電子記録マネージメントコンソーシアム(ERMC)会長。

上條 由紀子 弁理士
慶應義塾大学大学院理工学研究科博士前期課程修了、慶應義塾中等部理科講師を経て、2000年弁理士登録。
同年、太陽国際特許事務所入所。東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任講師を歴任後、2009年4月より金沢工業大学大学院准教授に着任。現在、東京農工大学大学院非常勤講師、日本弁理士会知財経営コンサルティング委員会委員、内閣官房知的財産戦略本部知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会委員、総務省情報通信審議会専門委員。知的財産マネジメント研究会(SMIPS)知財キャリア分科会オーガナイザー。