2013/06/24 12:00

第1回 牧野二郎弁護士と上條由紀子弁理士による法律と知財に関する対話 ~アグロスパシア・キックオフ・セミナー~

Photo:牧野二郎弁護士と上條由紀子弁理士/金沢工業大学大学院准教授 @ Agrospacia

by 岩渕 潤子(いわぶち・じゅんこ)/AGROSPACIA編集長

 2013年2月22日、アグロスパシア株式会社はIT関連の知識が豊富な法人法務の第一人者、牧野二郎弁護士(牧野総合法律事務所 弁護士法人)をお招きし、コメンテーターには金沢工業大学大学院知的創造システム専攻准教授/太陽国際特許事務所の上條由紀子弁理士をお迎えして、キックオフ・セミナー、「法律と知財: 起業する前にこれだけは知っておきたい!」を開催しました。

 本記事はセミナー内容を書き起こし、編集を加えたものです。

■上條先生からのコメント

 ただ今ご紹介に預かりました上條と申します。今日は初めてお会いする方がほとんどかと思いますが、アグロスパシアさんのキックオフセミナーという事でお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 牧野先生からたくさんの情報と知恵をいただいたので、私から質問をしたりコメントを言うほどの立場ではございませんので、むしろ会場の皆さんがご質問しやすい雰囲気を作るバッファーとして、ちょっとだけお話しをさせていたがければと思います。よろしくお願いします。

 少しだけお時間をいただいて自己紹介をしなければいけないと思います。

 私は金沢工業大学・大学院で知財についての授業を持っているわけですが、そもそも知財とは何でしょうか? 知的財産、特許法や商標法、デザインのアイディアを考えましたら意匠法でデザイン特許。コンピューターで何かプログラムやシステム開発をした際には、発明の特許を取るということで、特許庁に特許出願をします。それから、例えばアグロスパシアという会社を設立したら、素敵な名前だと思いますが、商法で会社名を登記することになります。

 その他。商標法で登録商標として出願をするといったような知的財産権を中心とした知財を専門にしておりまして、弁理士の仕事もしています。

 弁護士さんがかかわるお仕事の方が分野的には多いと思いますが、隙間家具的な、特殊な法律の専門家をやっているわけです。私は化学のバックグラウンド出身ですので、知財の専門家として、特許出願をメインに仕事をしています。そして、大学で授業をしながら、今は中小企業さんやベンチャーさんと知財の相談をしています。
 先ほど牧野先生のお話にもあったと思いますが、弁護士さんや弁理士さんの専門家の、大手の事務所さんにお願いして特許の出願をしたい、契約書を作りたいと言っても、本当にいくらかかるのか怖くてドアを叩けないと言うことがありますよね。

 そこで若手でスタートアップを立ち上げたいという、大学在学中くらいの方から、フリーランスで一人で頑張っている、そういった起業家の方の支援をしたいと思っているわけです。

 先ほど牧野先生がおっしゃったように、いきなり最初から費用をご請求するのではなく、ストック・オプションなどで、会社の成長と共に私も成長したいですというスタンスで、費用の面でも柔軟に対応していく形で、知財のコンサルティングの仕事をやっているというのが現状です。

 牧野先生のお話をうかがっていて強く感じたのは「失敗を恐れない」ということで、アントレプレナーシップという言葉でまとめてしまうと、よくある話になってしまうのですけが、とても大事なことだと思いました。やはり、新しい事業をやろうとか、会社を立ち上げようとなりますと、失敗するかもしれない、リスクも取らなきゃいけないという状況になる。そこで、先生がおっしゃった勇気。もちろん、勇気だけでは投資してもらえないし、お金は動かないって言われてしまうとそれまでなのですが、それでも重要なことだと思います。

 結局は投資家さんとの信頼関係、株主さんとの信頼関係、製品を売る相手となるお客さんとの信頼関係が構築できなければお金を投資してもらえませんし、何も買ってもらえません。弁護士さんや弁理士さんを含め、いろんな方と協力しあって、一人では何もオールマイティにはできないという先生のお話、本当に人は一人では生きられないんだなって……。だんだん教訓話みたいになってきてしまうわけですが(笑)、誠実であること、信頼感のある関係性を作るということが、特に新規事業や新しい会社を立ち上げる時には、とても大事だと思います。