2013/06/12 12:00

2013年 第66回カンヌ国際映画祭・特別レポート II(後編)

Photo:日没時のカンヌ駅:ニース方面は隣町の宿へ帰る人々で大混雑となる ⒸMai KATO

2013年 第66回カンヌ国際映画祭から特別レポート I
―意外と地味な「カンヌの歩き方」― 後編

by Mai KATO/Contributor(特別寄稿)

初めてのカンヌ、そもそもどうやって行く? どこに泊まる?

 「マルシェ・デュ・フィルム(Marché du Film)」や「カンヌ・クール・メトラジュ(Cannes Court Métrage)」などカンヌに行く目的が決まったら、公式ホームページから早めにレジストレーションを済ませ、いざ旅の準備を始めよう。
 プライベートでもビジネスでも、旅行となれば最初に確保するのが足と宿。本物の『地球の歩き方』にも記載されているが、まず、足に関しては大きく二つの方法がある。一つ目は、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港からフランス版新幹線のTGVで移動する方法。二つ目は、パリ、フランクフルトやミュンヘンなど欧州の近隣空港でトランジットし、ニースにあるコート・ダジュール空港から電車かバスで移動する方法だ。ただし、パリからのTGVによる移動は本数も少なく5時間以上もかかるので、個人的には2つ目の方法をおススメする。
 コート・ダジュール空港から電車で移動する場合、最寄り駅はニース・ヴィル(Nice-Ville)駅ではなくニース・サントーギュスタン(Nice-Saint-Augustin)駅なので注意すること。徒歩15分程度の距離にあり、荷物が多い場合はターミナル1から安い路線バスも出ているので便利だ。
 宿に関しては、カンヌ市内のホテルは比較的高価で競争率も高いので、もしうまく見つからない場合は、ニースやアンティーブなど近隣の町を考慮に入れて探してみよう。近隣の町には民宿やB&Bクラスの安宿も多くあり、空室も見つかりやすい。一方で、終電が21~22時頃と早いため夜の上映が見られなくなってしまったり、ディナー・ミーティングが組めなかったりというデメリットもある。カンヌに行く目的と予算に合わせて決めると良い。

いざ会場へ。どこで休む? どこで食べる?

 無事空港に到着し、宿にチェックインして荷物を置いたら、あとはカンヌの会場のパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)を目指すのみ。もし荷物を置けない場合、会場にはキャリーケースを持ち込めないので、会場脇にある公式の無料保管所に預けよう。
 電車やらバスでカンヌ市内に入ってしまえば、あとは人の流れに乗るか、とにかく海岸を目指せば会場にはたどり着ける(はず)。カンヌはどこでも徒歩で移動できる小さな町なので、海岸と駅もしくはバス停の方向感覚さえつかんでしまえば、迷うことはまずない。
 レジストレーションを済ませ、雰囲気をつかみ、仕事をして、やっと休憩……となった時、会場内に適当な場所が見当たらないことに気づくだろう。事実、階段の端っこや壁際の地べたに座って、黙々と紙媒体に目を通したり、PC作業をしたりしている人がズラリと並ぶのはよくある光景だ。
 特に、マーケットは試写やブースの数が膨大にあるので、外に出てゆっくり過ごすのは時間がもったいない。そんなときには、海岸沿いに並ぶテイクアウト専門のサンドイッチ屋やファストフード店でさっさと済ませてしまうほうが良い。そういう場所には若手の映画製作者も多いので、隣り合った人に話しかけて情報交換できるのも楽しい。
 一方で、会場外には映画館の並ぶエリアやヨットハーバー沿いに、安めのコース料理を出す店もたくさんある。そのような店は、商談相手とゆっくり話したい時にミーティングの場所として活用したり、会場が閉鎖された後のディナーの時間帯に仲間たちと堪能すると良い。

カンヌ国際映画祭にまつわるエトセトラ

 と、ここまで基本的なことをツラツラ書き連ねてきたが(常連のみなさん、何か役立つ情報があれば、ぜひ教えてください!)、これまで2回経験してつくづく思い知ったことがある。それは、5月のカンヌは意外に寒いということだ。
 穏やかな気候が魅力で、ルノワールやピカソなど多くのアーティストを魅了してきた南仏だが、去年も今年もカンヌは映画祭の時期に限って雨の日が多かった。しかも風が強いので、下手をするとズブ濡れ状態。今年知り合ったカンヌ出身の若手短編映画監督によると、毎年映画祭の時期にだけ雨が降るというジンクスもあるらしい。よって、頑丈な折りたたみ傘は必携。街中にはダウンコートやウールコート姿の人もたくさんいるので、防寒着も一着あると良い。
 そして、お土産の話をしよう。会場内外には、カンヌ国際映画祭公式のグッズショップがいくつかある。会場内のショップは狭いものの、長蛇の列に並ばずに済むので便利だ。インターナショナル・ビレッジの並ぶ海岸沿いにある大きい公式ショップ(公式ブロマイドショップの隣)は23時頃までと比較的夜遅くまでやっているので、仕事中に慌てて買いに行くような必要はない。少し高めの価格設定だが、菓子、ペン、Tシャツ、ポスターなどバラエティが豊富で、毎年デザインが変わることもあって魅力的だ。

――さて、カンヌでの仕事の収穫はどうだっただろう?
例えば若手の映画製作者なら、カンヌに行くまでに何人もの人に背中を押してもらったり、一緒に映画を作った仲間がいたりすることだろう。カンヌでは、ぜひとも、そういう人たちに報告できる成果を地道に積み重ねて帰って欲しい。なんといっても、仲間にとっては、それが一番のお土産になるのだから。