第11回 NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
オーナー、福田しゅうこさんに聞く「NYでレストラン経営をすること」
開業への道のり:11
開店後の課題と苦労していること
Q:Hibinoさんはオープンして6年目ですが、今までで苦労されたことは何でしょうか?
A:実際には、苦労したことだらけです。今一番苦労していることというと、日本からこちらに来る人の数が決定的に少なくなってしまったことですね。うちの店は、最初に日本人のスタッフだけで始めて、それがお店のカラーになっているので、アメリカ人のお客さんからも、それが個性だと思って頂いているわけです。
他の日本人がやっているレストランでも、もちろん日本人も働いていますが、キッチン、ディッシュウォッシャーやバスボーイ、サーバーさんなど、スタッフの半分以上がメキシコ系という所も珍しくない。
キッチンから全員日本人で……というのは、最初からそうしようと思っていたわけではなかったのですが、結果的にそういうことになり、それが好評で店のカラーになりました。2店舗目を開けたら変えることはあると思いますが、とりあえず今の店はそういうカラーを維持しようと思っているものの、日本人の居住者が減ったので、働いてくれる人を見つけるのが難しくなっています。また、増えてくれると良いのですが。
Q:スタッフについて教えて頂きたいと思います。
A:基本的にオープニングスタッフとは、シェフを含めては知り合いですよね。もともと一緒に働いていた人とか、その知り合いの知り合いとか。マネージャーさんは、以前、福田が働いていたSushi Sambaでサーバー(日本でいうホール・スタッフ)をしていた女性で、彼女が今もマネージャーさんをやってくれています。サーバーさんの募集は、日系の掲示板などに募集を出した記憶もあります。そこから何人かを面接して……という感じだったと思います。
Q:2店舗目というお話が出ましたが、これからビジネスはどう展開されるのでしょうか?
A:うちの旦那はものを作るのが好きな人なので、今のHIBINOという形態のお店をそのままどんどん増やしていくようなことはしたくないと話しています。とりあえず2店舗目は同じような形態でやってみて、もう少し経済的に余裕ができ、自由に店を出せるようになったら、違う形で……と考えています。日本食関連ではあるけれど、違うエリアを攻めたいな、と。HIBINOのはおばんざい屋さん。おばんざいを日替わりで出して、その他にお寿司もだしています。お寿司は人気メニューなので、出さざるを得ないのですが、一般的なアメリカ人に人気の派手なロール寿司ではなく、地味な巻きものと押し寿司しか出さないという感じで。
アメリカ人は、お客さんによりますけど、うちの店のコアな客層は日本に実際に行ったことがある人たちが多いのです。日本が大好きで、日本に住んでいましたとか、仕事で駐在していた人が多い。そういう人はおばんざいをちょっと取って、お寿司をつまむといっても、押し寿司とか地味なロールとか……。
意外なことに、うちのお店では鯖がたくさん出ます。ローカルの鯖が入った時にしか出さず、日替わりメニューなので、棒寿司や握りにして出したらすぐに無くなります。鯖を酢で〆たものなどが速攻で売り切れるのですよね。煮たもの、焼いたものはさておき、アメリカ人が生の鯖なんて食べないような気がしませんか? 日本人でも青魚を生で食べない人は多いじゃないですか? 不思議な気がしますが、うちの店のお客さんは鯖がお好きな方が多いようです。
福田 しゅうこ | |
日本での薬剤師からNYにてグラフィックデザイナーに転身。NYにて夫であるフクダと出会い結婚、二児を授かる。子供の誕生を機に起業を考え始める。フクダがNYでシェフをしていたことから、起業すなわちレストラン開業へ、と思考。3年間の準備期間を経て2007年、3月、ブルックリンに「私たち日本人が日常的に食べている食事を提供する店」をコンセプトに「ひびの食堂」を開店。現在「自分の時間を楽しむ。手酌の店」を出店準備中。 |
福田 勝 | |
映像業界からNYにてシェフに転身。 子供の誕生を機にレストラン開業を目指しアメリカ人オーナーの下で、アメリカ式レストラン・ビジネスについて学ぶ。定番メニューを主軸にした和食の店の開業準備に取りかかり、自身が京都府出身であることから惣菜の京都弁である「おばんざい」を日替わりで提供し、新しい形の豆腐である「瓶詰め豆腐」を提供する店「ひびの食堂」を6年前にブルックリンに開店。妻と二店舗目の出店計画中。 |