第10回 NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
オーナー、福田しゅうこさんに聞く「NYでレストラン経営をすること」
開業への道のり:10
アメリカでレストラン経営をする上で日本と違うこととは?
Q:開店後、運営の体制はどのように変わっていったのでしょうか? 今ではかなり大きなオペレーションになっているのでは?
A:しばらくすると、だんだんお客さんも増えてきて、調理スタッフも増やす必要が出てきました。キッチンに関しては、今は常時3人は入っていて、それにヘルパー1人という体制です。加えてディッシュウォッシャー1人に、バスボーイという食器を下げる男の子が1人。フロントはサーバーさん3人とキャッシャー1名、マネージャーさんという構成です。
いつもバタバタと忙しく、お店の規模の割にいらっしゃるお客様の数は多いので、そのくらいの人数はいないと間に合わないですね。デリバリーも最初はやる予定でいたのですけど、今の状況だとキッチンが十分な大きさではないので、デリバリーをやると対応しきれなくなる。それで、今、あえてデリバリーはやらないことにしています。でも、ビジネス的はやったほうが本当は割がいいのですけれども。
Q:飲食ビジネスで日本と大きく違う点として、意外と知られていないのは、サーバーさんが時給制ではないということだと思うのですが、ご説明をお願いできますか?
A:サーバーさんの報酬というのは、基本的にはお客さまからのチップです。キッチンのスタッフとかにはペイロール(定期的な給与)で支払いますが、サーバーさんの場合は、お客様がくれたチップがお給料になります。お客さんがくれたチップは基本的に、全額がサーバーさん(+その他サービススタッフ)のものになります。日系のお店は違うやりかたのところもあると思いますが、アメリカの場合、法律上もチップはサーバーさんにあげなくてはいけないことになっています。
というわけで、ある程度の売り上げがあって、チップの額が十分な場合、お店からサーバーさんに払う給与は法律で定められた最低賃金分程度です。そして、お客様がキャッシュで支払う場合は問題ないのですけど、クレジットカードでチップも乗せて支払う場合、合計金額としてお店に一旦入ってくるので、その分の結構な額の税金(消費税:NY州は2013年現在8.75%)は店側が支払わなくてはならないのと、クレジットカードの会社へ支払うプロセッシング・フィー(手数料)の負担は結構あります。でも、原則論として、サーバーさんに店からかかる人件費は、日本に比べるとかなり負担が少ないのではないでしょうか?
お客さんが増えれば増えるほどチップの額も多くなるので、サーバーさんを2人にしても3人にしても、それで店の負担が倍増、という事はありません。キッチンの調理スタッフは、忙しくなるにつれて人数を増やすと、お給料を普通に出しているので、人が増えると人件費も増え、なかなか大変なのですが・・・。
福田 しゅうこ | |
日本での薬剤師からNYにてグラフィックデザイナーに転身。NYにて夫であるフクダと出会い結婚、二児を授かる。子供の誕生を機に起業を考え始める。フクダがNYでシェフをしていたことから、起業すなわちレストラン開業へ、と思考。3年間の準備期間を経て2007年、3月、ブルックリンに「私たち日本人が日常的に食べている食事を提供する店」をコンセプトに「ひびの食堂」を開店。現在「自分の時間を楽しむ。手酌の店」を出店準備中。 |
福田 勝 | |
映像業界からNYにてシェフに転身。 子供の誕生を機にレストラン開業を目指しアメリカ人オーナーの下で、アメリカ式レストラン・ビジネスについて学ぶ。定番メニューを主軸にした和食の店の開業準備に取りかかり、自身が京都府出身であることから惣菜の京都弁である「おばんざい」を日替わりで提供し、新しい形の豆腐である「瓶詰め豆腐」を提供する店「ひびの食堂」を6年前にブルックリンに開店。妻と二店舗目の出店計画中。 |