第9回 NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
NYでちょっと知られたステキな日本食レストランHIBINO
オーナー、福田しゅうこさんに聞く「NYでレストラン経営をすること」
開業への道のり:9
いよいよ開店へ!
Q:内装工事を始めるための許可が取れた後、他に必要な許認可とは?
A:次にしないといけないのが、うちの店はビルディングの構造上ガスが入っていないのですけど、ガスを入れて火を使うとなると、ファイアー・デパートメント(消防局)の立ち入り検査が必要になります。ヘルス・デパートメント、日本で言う保健所さんのインスペクションも必要です。それからリカー・ライセンスという、これは日本に無いものですが、飲食店でお酒を出すために免許を取らなければなりません。このライセンスを取るのに時間がかかります。
今は状況が変わって、以前よりは早く取れると思いますが、11月の末にリースを組んだ瞬間からリカー・ライセンスの手続きを始めて、実際に取れたのは4月くらい。3月末に店を開けているのですけど、それから1ヶ月以上もリカー・ライセンスがない状態だったので、その間お酒類は出せませんでした。
最近はリカー・オーソリティーも効率化が進み、もっと早くにライセンスが出るようになったらしいです。私たちがレストランを始めた頃は、最低でも6ヶ月はかかっていました。今はレストラン・ビア&ワインという、ハード・リカー(ウィスキーやカクテルに使う強いお酒)を置かないライセンスであれば、2ヶ月くらいで取れると弁護士さんが言っておられました。まぁ、開店準備は2〜3ヶ月。許認可系はそんな感じでしょうか。
もう一つ許認可とは違いますが、セールス・タックスを収めるためのEINという事業者のIDを取る必要があります。
Q:スタッフについて教えて頂きたいと思います。
A:基本的にオープニングスタッフとは、シェフを含めては知り合いですよね。もともと一緒に働いていた人とか、その知り合いの知り合いとか。マネージャーさんは、以前、福田が働いていたSushi Sambaでサーバー(日本でいうホール・スタッフ)をしていた女性で、彼女が今もマネージャーさんをやってくれています。サーバーさんの募集は、日系の掲示板などに募集を出した記憶もあります。そこから何人かを面接して……という感じだったと思います。
Q:シェフの方と、サーバーさんとで何人くらい働いておられるのでしょうか?
A:オープニングの時はそんなに多くありませんでした。うちの旦那とパートナー(共同経営者)の男性が一人いて、出資比率は違いますが、その二人がSushi Samba出身で、メインのシェフはその2人。キッチン・ヘルパーと食器洗い担当が兼任で一人。キッチンは3人だけでした。それで、マネージャーの女の子と、不定期で私が手伝いに行って。お客様対応はサーバーさん2人だけでした。それで始めたのです。オープニングの直後頃は、レストラン関係の知り合いとかも順繰りで手伝いに来てくれたりしていました。
福田 しゅうこ | |
日本での薬剤師からNYにてグラフィックデザイナーに転身。NYにて夫であるフクダと出会い結婚、二児を授かる。子供の誕生を機に起業を考え始める。フクダがNYでシェフをしていたことから、起業すなわちレストラン開業へ、と思考。3年間の準備期間を経て2007年、3月、ブルックリンに「私たち日本人が日常的に食べている食事を提供する店」をコンセプトに「ひびの食堂」を開店。現在「自分の時間を楽しむ。手酌の店」を出店準備中。 |
福田 勝 | |
映像業界からNYにてシェフに転身。 子供の誕生を機にレストラン開業を目指しアメリカ人オーナーの下で、アメリカ式レストラン・ビジネスについて学ぶ。定番メニューを主軸にした和食の店の開業準備に取りかかり、自身が京都府出身であることから惣菜の京都弁である「おばんざい」を日替わりで提供し、新しい形の豆腐である「瓶詰め豆腐」を提供する店「ひびの食堂」を6年前にブルックリンに開店。妻と二店舗目の出店計画中。 |